LINEやフェイスブックへの「SNS依存」や「オンラインゲーム依存」など、ネットやスマホに依存する大人が増えている。中にはゲームを1日8時間プレーして無断欠勤をするケースや、ママ友から嫌われたくないという理由でSNSに依存する人もいるという。
「やめたい」と願っていても、やめられない。こうした心情は「負の報酬」と呼ばれ、ネット・スマホ依存から簡単には抜け出せない理由の一つだという。
負の報酬とは、ネットやスマホの利用をやめることによって生じるデメリットのことだ。
「ネットの世界で獲得できる充足感や癒やしは、いわゆる『正の報酬』に位置づけられます。飲酒で味わう陶酔感や、ギャンブルで得られるお金、快感と同じものです。これも依存の要因となりますが、それに加えてネット・スマホでは『負の報酬』によっても依存が助長される」(東京大学大学院情報学環の橋元良明教授)
例えば、オンラインゲームでは、プレーヤーが操る登場人物の熟練度が上がると、他者からの尊敬や注目を集め、達成感を得ることができる。そうした正の報酬を得られる半面、ゲームをやめてしまうと、仲間から相手にされなくなる不安や、迷惑をかけるかもしれないという罪悪感、つまり負の報酬も抱くというのだ。
SNS依存でもコミュニティーから抜けることで、仲間から中傷されたり、グループからの隔絶に不安を抱いたりして、本人がやめたいと思っていてもやめられないケースが多いという。
「正と負の報酬が相まって、自分の意思で使用をコントロールできなくなる。ネット・スマホ依存の特性と言ってもいい」(同)
※週刊朝日 2013年11月1日号