高年齢者雇用安定法が改正され、2013年春から、企業には希望する人を年金支給が始まる年齢まで継続雇用することが義務付けられた。しかし、実際は継続雇用がかなわず、再就職先を求めて就職活動を迫られる人は依然として多いという。
就職活動を成功させる方法として、キャリアカウンセラーの竹内康代氏は「これまでのキャリアを棚卸しする作業が不可欠」と話す。
「できれば現役のうちに、これまで取り組んだ仕事をリストアップし、成果と反省点を書き出してみましょう。面倒と思うかもしれませんが、求人の絞り込みはもちろん、効果的な履歴書作りや面接での積極的な受け答えにもつながる、とても重要なステップです」
自分のキャリアを改めて見直すことで、これから応募する企業でどんな貢献ができるか、といったことも明確になってくる。職種や業種が違っても生かせるスキルや課題が発見でき、面接でも評価される受け答えができるようになるという。
竹内氏によると、求人探しにはハローワークはもちろん、専門的な仕事をしてきた人なら「人材銀行」という公的な職業相談機関も利用できる。全国6カ所にあり、40歳以上の管理的、専門的、技術的職業に従事してきた人に対応している。東京では、「東京しごとセンター」「東京しごとセンター多摩」という機関でも熟年層の職業相談に応じている。民間の転職支援サイトや人材紹介サイトにも登録して、アンテナを広く張り巡らせておくことが重要だ。
中でも竹内氏が特におすすめするのが、自分自身が持つ人脈の活用だ。年賀状のリストや同窓会名簿にある友人知人、前職で世話になった人たちなどに就職活動中であることを広く知らせることで、思わぬ「いい話」が舞い込んでくる可能性は非常に高いという。
「『恥ずかしい』とか『どのつら下げて』としり込みせず、話せる人に連絡を取ってみましょう。再就職活動は多くの人が直面することで、何も恥ずかしいことではないのです」(竹内氏)
※週刊朝日 2013年8月16・23日号