8月10日に全国公開される映画「少年H」で、29年ぶりの共演を果たした水谷豊さんと伊藤蘭さん。二人で訪れたモスクワ国際映画祭を帰国後に振り返った。

伊藤:今回モスクワ国際映画祭で特別作品賞を受賞した理由に、「(日本は東日本大震災を経験し)大変な時期なのに、こういう未来に向けての映画を作った」という一文があって、作り手の勇気を評価されたのがうれしかったです。

水谷:ところで、向こうで蘭さんはずっと着物姿だったので、日本映画の人という気がしましたよ。

伊藤:不思議でした。ロシアの大地で着物を着て、赤の広場にたたずむなんて想像もしなかったことですから。閉会式は特にすばらしくて、天気も良くて、レッドカーペットは予想以上に広かったし、華やいだ気分になりました。

水谷:僕もレッドカーペットでは舞い上がって、ついつい歩くのが速くなってしまい、振り返ると蘭さんと監督が置いてきぼりに。あっ、戻らなきゃって。(笑)

伊藤:夢中になると動きが速くなっちゃう。そんなところが、豊さんの人生そのものって感じ。(笑)

水谷:でも、二人で海外は久しぶりでしたね。映画祭の会場だけでなく、赤の広場やボリショイ劇場など普通の観光では見られない場所を観光できて、ゆったりした時間が過ごせて、モスクワは忘れられない土地になりそうです。

週刊朝日  2013年8月9日号