宋美玄さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)
宋美玄さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)
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岡田弘さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)
岡田弘さん(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 人はどんな性生活を送っているのか。今年1月にコンドームメーカーの「相模ゴム工業」が全国の20~60代の男女約1万4千人を対象に行った調査「ニッポンのセックス」を紹介しよう。

「セックスの回数が少ない」と実感している男女に、「もっとセックスをしたいと思いますか?」と問いかけたところ、男性は20~60代の75%以上が「したい」と回答している。

 しかし、対する女性は、20代をのぞくすべての世代で半数以上が「したくない」と答え、特に閉経後の50、60代にいたっては7、8割がセックスの回数を増やさなくていいと考えていると回答したのだ。

 したい男と、もうしたくない女……。産婦人科医の宋美玄(ソン・ミヒョン)氏は「この世代の社会通念を考えると、セックスしたくないのも無理からぬこと」という。

「女性に性欲があること自体を認めてこなかった世代で『私、性欲があるんです。異常ですよね』とカウンセリングに来る女性もいるほど。それは自然の欲求で、恥ずかしく思う必要はないと説明しても、わかってもらえない」(宋氏)

 また獨協医科大学教授の岡田弘氏も、この世代は、「ちゃんとした性教育を受けてこなかった」と指摘する。思春期までに初潮教育は受けていても、それは性感染症や妊娠、出産の知識を含む「性」を知ることとはかけはなれている。

「まして、セックスはふたりのあいだのコミュニケーションツールであり、触れ合うことで夫婦間の絆が深まるということを誰からも教えてもらわなかったし、気づいてもこなかった。生涯セックスをしたいのであれば、日常的に会話をし、お互いに思いやりを表現し合うことが先決だと、いま一度知ってほしい」(岡田氏)

 身体が変化し、時間に余裕ができる熟年期は、その好機だともいう。

 とはいえ、熟年期にさしかかった夫婦に重くのしかかってくるのは、「したくても、できない」という現実かもしれない。熟年セックスは、一朝一夕にしてできるものではない。生活習慣病や高血圧、うつ病など心身に不健康が生じると、EDはすぐそこに迫っている。

 常に健康管理をし、日ごろからパートナーとのコミュニケーションを欠かさない、という積み重ねが、何よりも大事なのだ。

週刊朝日 2013年8月2日号