2009年度以来、上場企業には年間報酬1億円以上の役員の氏名とその報酬額を開示する制度が義務付けられた。今年は、そこに301人が名を連ね、制度開始以来最多となった。今回は役員報酬が業績と連動する傾向にあったが、その一方で赤字になったり、株主に配当金を支払っていないのに、1億円以上の報酬を受け取ったりする役員がいる企業もある。
東京商工リサーチのデータをもとに作成した「赤字決算・無配当の企業の開示人数」を見ると、業績悪化で赤字に陥ったフェローテックと、赤字で配当がない印刷機械製造の東京機械製作所では2人だ。東京機械は4年連続の赤字で、12年度の決算短信に〈継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております〉と記している。経営危機に直面する可能性もあるということだ。
さらに、業績に見合った報酬か否かをチェックするため、役員全体の報酬の合計額を増やした企業について、報酬と営業利益の関係性を見てみた。本業の儲けを示す営業利益が大幅に減っているのに役員報酬が増えていれば、報酬の計算の妥当性が疑われかねない。岩谷産業は営業利益が前期比12.8%減、丸紅は21.9%減にもかかわらず、報酬の合計額が増えている。
「業績がずっと悪いのに役員が高額な報酬をもらい続けていれば、それはおかしい。その根拠を納得できるように投資家などに説明しなくてはいけない」(企業統治などが専門の早稲田大学の久保克行教授)
※週刊朝日 2013年7月26日号