さまざまな党が乱立する今回の衆院選。その行方を、政治評論家の森田実氏と時事通信社解説委員の田崎史郎氏は次のように読む。

*  *  *

森田:青森は自民が総取りしそうです。岩手1区の達増陽子(47・未来)は達増拓也知事(48)の妻で、後援会の評判が良く、なかなか強い。4区の小沢一郎さん(70)はもちろん強いけれど、以前ほど絶対的ではなくなってきたように思います。

田崎:よもや落選することはないでしょうが、「予断を許さない」と見る向きもある。「小沢神話」の終焉がついに近づいてきました。

森田:千葉4区の野田佳彦首相(55)は、現職総理でありながら比例区での重複立候補となっています。民主から未来に移った刺客・三宅雪子(47)に票を食われることを懸念したのかもしれません。

田崎:野田首相以外で勝つ見込みがある民主の候補は、1区の田嶋要(51)と9区の奥野総一郎(48)くらいでしょう。

森田:東京は石原慎太郎さん(80)の影響もあって維新が健闘していますが、選挙区では1議席取れるかどうかでしょう。15区の東祥三(61)は、いまはなき「国民の生活が第一」の幹事長としてメディアによく出ましたが、ここはみんなの柿沢未途(41)が強い。

田崎:18区の菅直人前首相(66)は自民の土屋正忠(70)とデッドヒートですが、負けても比例復活はほぼ間違いない。新潟では、5区の田中真紀子(68・民主)がやや劣勢です。

森田:もしも田中が負ければ、岩手の小沢王国に続き、田中角栄元首相から続く田中王国も終わることになる。いよいよ日本の政治から「レジェンド」が消えるのかもしれません。

週刊朝日 2012年12月21日号