「第三極」はこれまで日本維新の会の代名詞だったが、衆院選公示の直前になって突如、「卒原発」を旗印にした日本未来の党が結成された。
小沢一郎氏(70)が渋る嘉田由紀子滋賀県知事(62)を口説き落としたのは11月24日夜、3回日の「密会」だった。嘉田氏はその数日前の深夜に、政界に知己の多い知人に電話し、1時間以上も話し込んだ。
「橋下徹大阪市長(43)は小沢さんを尊敬していると以前言っていたけど、小沢さんって信用できる方なのかしら」
そう尋ねられた知人が、「小沢さんと過去に組んだ政治家はみんなボロボロになっている」と指摘すると、話は堂々巡りになった。「悩みが深いのか、嘉田さんは少しお酒を飲みながら、話しているようでした。小沢さんから『一刻も早く決断してもらわないと、脱原発派の議員が大同団結できず、討ち死にする』と迫られたらしい。『新党の軸が小沢さんになれば、いずれ壊れてしまう』と忠告しました」(知人)。
嘉田氏と小沢氏の「密会」には、日本未来の党の代表代行になったNPO環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長(53)も同席した。飯田氏によると、嘉田氏は小沢氏と会った際、一つだけ条件を出した。「まず、小沢さんが党の代表から降りた形で合流の話をさせてほしい」。剛腕の言いなりにはならないと宣言したわけだ。
関係者によると、嘉田氏は会談中、終始厳しい表情だったが、小沢氏は熱心に口説き続けたという。「うちの党がなくなってもいい。一兵卒としてやらせてください」。
こうして嘉田氏は日本維新の会に対抗する第三極の新たな“キーウーマン”となったのだ。
※週刊朝日 2012年12月14日号