11月16日の衆院解散後、野田佳彦首相(55)は両院議員総会でこう言い放った。

「首脳外交はタフな交渉が多いんです。胆力と度量と器が問われます。世界のリーダーに伍して渡り合う、その首脳外交を担うのは安倍さんなのか、私なのか」

 5年前の参院選で低支持率にあえいでいた当時の安倍晋三首相(58)が訴えのメーンに置いたのが、「私と小沢一郎民主党代表(当時)のどちらが首相にふさわしいか」だった。世論調査で唯一の好材料は、「2人の好感度」で安倍氏が小沢氏に大差をつけていたことだったからだ。

 安倍氏の政権投げ出し以降、首相はほぼ1年ごとに交代。5代目となった野田首相も低支持率に苦しんだあげく、見いだした活路は安倍氏と同じ、「野党第1党の党首に総理の適性はありやなしや」を国民に問いかけ、選択してもらう戦術だった。

週刊朝日 2012年11月30日号