第65回青少年読書感想文全国コンクールの受賞者たちと話をされる秋篠宮ご夫妻(毎日新聞社提供)
第65回青少年読書感想文全国コンクールの受賞者たちと話をされる秋篠宮ご夫妻(毎日新聞社提供)
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表彰式に駆けつけた中西進さん(撮影/写真部・小山幸佑)
表彰式に駆けつけた中西進さん(撮影/写真部・小山幸佑)
中西進さん(左)と対面した倉橋和希さん(撮影/写真部・小山幸佑)
中西進さん(左)と対面した倉橋和希さん(撮影/写真部・小山幸佑)

 青少年読書感想文全国コンクール(主催・全国学校図書館協議会、毎日新聞社)の表彰式が7日、東京・大手町の経団連会館で開かれ、秋篠宮ご夫妻と受賞者ら約千人が参加した。

【画像】会場に駆けつけた「令和」考案者とされる中西進さん

 秋篠宮さまは表彰式で「本に書かれていることの内容をしっかり考え、自分自身の経験にも照らし合わせながら読んでおられることに感心するとともに、そのことを上手に表現されていることに感銘を受けました」と感想を述べた。

 全国2万5579校・397万5894編の応募の中から、小学校中学年の部で最優秀にあたる内閣総理大臣賞を受賞した埼玉県草加市立谷塚小学校4年の石黒琉翔さんは、受賞者を代表してあいさつ。普段は推理小説や冒険物語をよく読むが、課題図書として『季節のごちそうハチごはん』に出会い何度も読み込んだといい、「僕の世界を広げてくれた新しい本との出会いに『ありがとう』という思いと、大きな賞までいただくことができて本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。

 表彰式後、秋篠宮ご夫妻は受賞者と懇談し「すばらしい感想文でしたね」などと声をかけた。

 パーティーには課題図書の著者や受賞者の家族、学校関係者も参加。小学校高学年の部で内閣総理大臣賞に選ばれた、山口県田布施町立田布施西小学校6年の倉橋和希さんは、題材にした『中西進の万葉みらい塾 はじめての「万葉集」』(朝日新聞出版)の著者で、新元号「令和」を考案したとされる万葉集研究の第一人者、中西進さんと初めて対面。「短い文章の中でも『景色にも気持ちがある』という万葉集のエッセンスを掴み、自身の体験を通して見た景色について書いてくれたところが素晴らしい。最後に自分で詠んだ和歌が書かれていたのも、とてもいいと思いました」と中西さんから講評をもらい、「最初に受賞を知ったときよりも、とても嬉しい気持ちです」と喜んだ。

『万葉みらい塾』は中西さんが全国の小中学校を回る、同名の出前講座を収録した一冊。もともと学校で百人一首に触れて和歌に興味を持っていたという倉橋さんは、新元号が万葉集に由来するとニュースで知り、「これまで外国の古典などから引用されていたものが、今回は初めて日本の万葉集からだったことに驚いて、今年はそのことについて書こうと思った」と本を選んだきっかけを話した。何度も書き直したという作品は

<言葉は生きている。いや、生かすことができるんだ。万葉の言の葉が、そっとささやいた。>

 という書き出しで始まり、これまでに見てきた景色や博物館で万葉集を目にしたときの気持ちを振り返りながら、著者と会話をするように進んでいく。終盤では

<そうか、体験がないと言葉の心を深く受け止めることはできないのか。>

 と、これから待ち受けるであろう体験や感情に胸を踊らせる様子がいきいきと描かれていた。

 中西さんは「固定観念に縛られてしまう大人と違い、子どもたちは非常にナイーブで(本や授業の内容を)染み入るようにどんどん受け取ってくれます。だからこそ我々の発言は未来と子どもたちに向かっていなければいけない。そのことを改めて感じる文章でした」と目を細めた。(AERAdot.編集部・金城珠代)