「今でも朝の通勤時は大混雑ですし、平日の日中も観光客の増加でかなり人が多い状態。五輪本番の時期はどんなことになるか想像もつきません」と前出アクアシティのショップスタッフは顔を曇らせる。お台場にある会社に勤務する30代男性も「五輪期間に出勤することを考えると気が遠くなります。リモートワークをしたくても私の職種はそういうわけにはいかない。本当に先が思いやられます」と頭を抱えていた。

 実際、東京都と組織委員会が昨年4月に発表した試算によれば、大会中に渋滞対策を講じたとしても、ゆりかもめは7日間で混雑率150%以上になるとされていて、電車に乗るだけでも一苦労になりそうだ。通常時期は品川や田町、門前仲町や東陽町に路線バスが出ていて、こちらを利用する人も多いというが、大会期間中はその路線バスも交通規制によって通常運行は不可能と見られる。ゆりかもめとりんかい線だけで、大挙して訪れる観戦者と観光客を輸送しきれるのか。半年後のお台場地区の様子が大いに気になるところだ。

 華やかな部分だけにスポットライトが当たりがちな東京五輪・パラだが、大会を迎える開催地の人々には明と暗がある。それを改めて認識しておくことも、巨大スポーツイベントの成功につながるはずだ。(文・元川悦子)