「海の見える近場の公園ということで、時々、子どもを連れてお台場海浜公園に遊びに来ていたのですが、五輪期間は長い間、使えないと聞いてガッカリしています」と埼玉在住のお母さんも肩を落としていた。


 
 だが、それ以上に大きなダメージを受けるのは、台場海浜公園内のカフェやショップの関係者。昨年8月のテストイベントの時は休止を免れたというが、本番になればセキュリティがより強化されるため、長期間のクローズに追い込まれる状況だ。

「お台場海浜公園のかき入れ時は夏場。五輪とパラ開催で来年7~8月の営業ができなくなるとしたら、やはり深刻だと思います。エーベックスさんのイベント(STAR ISLAND 2019/2019年7月20日に開催)時は営業補償があったようですけど、五輪やパラはどうなるか全く分からない。社長に頑張ってもらうしかないですね」

 昨夏の時点でアルバイト店員は不安そうに話していたが、その懸念が現実となり、3月からは営業不可となる模様だ。ショップが休業となれば、彼らの雇用もなくなってしまったはず。各飲食店への営業補償があったとしても、支払額はいくらまでなのか、アルバイト店員の賃金まで面倒を見られるのか不透明だ。

 お台場を起点とした船の運航にも支障が出る。大腸菌を流入させずに水質を保つため、海底までスクリーンを設置する必要があるということで、6月21日~9月20日の3カ月間は航行ストップとなることが決まっている。

「今は水上バス利用者の6割以上が外国人観光客。東京五輪に向けてニーズが高まる時なのに、営業面のダメージは大きいでしょうね」と水上バス乗り場の近くに勤務する50代男性も心配そうに話していた。水上バスのみならず、東京湾の夏の風物詩である屋形船も運行できなくなってしまう。東京湾観光船も飽和状態で、別ルートの運航を増やすのも限界がある。東京五輪で海外からの観光客が大挙して訪れる2020年夏に観光船を走らせられないのは、関係者にとっては想定外に違いない。

次のページ
一方で歓迎ムードの関係者も