仲間からも信頼を得てチームに溶け込み、その証拠に地区優勝を決めた際には、寺内崇幸監督の後に「西岡コール」が起こり、胴上げで宙を舞った。「剛がいてくれて本当に助かりました」とは寺内監督。自らの実力をグラウンドで証明し、自らの経験をチームに還元したのだ。

 だが、年齢は現在35歳。プレイヤーとしての寿命はそれほど長く残されていないだろう。期待するのは「その次」、指導者としての役割になる。実績、経験は申し分なし。チームをまとめる術、自らが先頭に立つリーダーシップも持っている。時に強い態度で報道陣と対決姿勢を取り、マスコミからの“ウケ”は決して良いとは言えないが、「いい人=いい指導者」という訳ではない。強い個性、発言力が、コーチ、さらには監督としての立場になった時に、「いい方向」に発揮される可能性は十分にある。

 将来の指導者転身について、西岡は「そういう人間になれるように日々、勉強していきたい」と話したという。酸いも甘いも含めて多くの経験をしている人間は、様々な立場に立って物事を考え、アドバイスすることができる。甲子園、リーグ優勝、日本一、WBC、五輪、メジャー挑戦、日本復帰、怪我、リハビリ、独立リーグ、トライアウト……。これらの経験は必ず、西岡の今後の指導者人生に生かされるはずだ。

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