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50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、突然患った大病を乗り越えて、カムバックを果たした天龍源一郎さん。来年に迎える70歳という節目の年に向けて、いま天龍さんが伝えたいこととは? 今回は「人付き合い」をテーマに、飄々と明るく、つれづれに語ります。
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小脳梗塞を発症してから、もう半年がたつのか。先日MRIや画像診断を受けたけど、特に新たな発症の痕跡はなくてホッとしたよ。今はいたって元気。物忘れの回数が増えたかなとは思うけれど(笑)、この歳だからね。逆にわずらわしいことをあまり気にしなくなったし、いい機会だったんだよ。それと、最近は血流がよくなるっていうからビールよりも赤ワインを飲んでる。ささいなところにばかりこだわって(笑)。だけど、やっぱりワイングラス1杯がなかなか空かなくてさ、まるで太田胃散を飲んでるような感覚だな。
さてと、高齢者向けのアンケートで、「大事なこと」って回答が多かったらしい、“心穏やかに過ごすための人付き合い”について聞きたいんだって? まずその前にね、「人生100年時代」「いくつになっても働きたい」なんていうけれど、誰も60、70歳になってまで現役で働き続けたいなんて思っている人はいないよ。だけど、今の社会状況がそれを許さないから、高齢者は自分を装飾して鼓舞しているわけだ。日本人の国民性だから、「生活に困窮して働くんだ」なんてことは、口が裂けても言わないじゃない。「キツイけど頑張らなきゃしょうがない」が本音だよね。
ことスポーツ選手に関しては、やるだけやったら静かに余生を過ごしたいはず。ただ、昔の仲間たちと昔話に花を咲かせるのは、すごく気休めになるね。一緒に過ごしてきたやつらだから、大体の話の内容も合致するしさ。さっきも、娘が「プロレス界の人なら話が合うよね」ってセッティングしてくれて、久しぶりにノアの小川良成とランチをしてきたところ。あいつも喜んでくれたし、俺もうれしかったよ。娘は今後のラインアップも考えてくれているみたいだし、楽しみにしておくよ。