こんな僕ですが、雑誌「GQ JAPAN」の企画でアルマーニのスーツをオーダーメイドすることになりました。何度か採寸やフィッティングをしたのち、いよいよ出来上がったスーツに初めて袖を通す場は、ポーランドのワルシャワ映画祭。僕が監督した映画「はるヲうるひと」(日本では来年公開)の舞台挨拶に登壇するため。今ちゃっかり宣伝を挿入しましたが、ポーランドで、アルマーニのオーダーメイドスーツに初めて袖を通した時、なんというか、戦闘モードになった気がしました。「あ、こういうことかもなあ」と思いました。

 相手を不快にさせないのはもちろんですが、自分の気持ちが、前を、上を向けるような服を着ればいいかもな、と。それをTPOに合わせて、さりげなく着こなす。

 なーんて、口で言うのは簡単ですが、なかなか成し得るのは難しいんだろうなあと、こんな僕でもなんとなく想像ができます。

 でも、自分の気持ちが上向く可能性があるなら、そのアイテムを利用しない手はない。まずは、もっと服に興味を持つところから始めてみようと思っています。(文/佐藤二朗)

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