この論文では、子どもたちの夜の睡眠時間はおよそ9時間~9時間半でした。さて、この数字をどう解釈したら良いでしょうか? アメリカ国立睡眠財団が発表している1日の睡眠時間の推奨は、6~13歳で9~11時間です。9時間~9時間半というのは、非常に少なくはないのですが、決して多いわけでもありません。30分~1時間のお昼寝を加えても、推奨時間内におさまります。では、夜に10時間寝てお昼寝をしなかったとしたら、成績はどうなるでしょうか? この研究から知ることはできませんが、興味深いところです。
日本では特に睡眠不足の子が多いという背景もあり、私自身は、小学生の子が日中に眠いなら、まずは夜の睡眠時間を増やしてほしいと考えています。昼行性の人間にとって一番大切なのは、夜に十分眠ることです。
しかし、夜の睡眠時間が変わらないのであれば、お昼寝をプラスするのは良いのではないかと思います。日本の小学生で言えば、塾通いでどうしても寝る時間が遅くなる子もいるでしょう。医師として、決してそれが良いと言うことはできません。しかし、保護者の方が、その子の人生にとって総合的にそれがベストと判断することはもちろんあると思います。そんな場合は、休み時間に10分でもお昼寝をすれば、多少ではありますが睡眠不足を補うことができるでしょう。
子ども本人の希望やお昼寝が可能な環境かどうかも関わってきますが、夜の睡眠時間が変わらない程度なら、お昼寝は精神面でも学業面でも良い影響があるかもしれません。
(※1)大井晴策, 福田一彦. 幼児の昼寝と生活習慣について. 日本家政学会誌. 2011;62(10):677-9.
(※2)Liu J, Feng R, Ji X, Cui N, Raine A, Mednick SC. Midday napping in children: Associations between nap frequency and duration across cognitive, positive psychological well-being, behavioral, and metabolic health outcomes. Sleep. 2019.