先週、久しぶりに『髑髏城の七人』を観てきました。
本当なら毎日行って、その日の芝居を観て、修正出来るところは修正するという作業をしたいのですが、今はさすがに『仮面ライダーフォーゼ』のシナリオで忙しくて、とてもそんな余裕はありません。
それでも一週間に一度くらいは、可能なところで時間を取って、劇場に行きたいと思っています。
久しぶりに観た『ワカドクロ』は、また色合いを深めていました。
小栗旬演じる捨之介はより情感深くなり、仲里依紗の沙霧との関係が初々しい。彼の捨之介は今までの捨之介にはないストレートな感情の揺れがあります。それがいい、というか、そういう芝居にしたかった。
森山未來、早乙女太一、小池栄子、勝地涼、それぞれが自分の役を身体に入れて、その佇まいを濃くしています。
若いとはいえこの世界では充分にキャリアも実績もある彼らが、舞台の上でしのぎを削っている。プレッシャーもあるだろうけど、意地もある。
ぶつかりあうその若さがなんともうらやましく、劇場を出て家に帰っても、胸の内にザワザワとした思いがおさまりませんでした。
自分でもそのざわつきが何なのかよくわからなかったのですが、それが心地よかった。
今回の『髑髏城』を観に来た花組芝居の加納幸和さんが、楽屋に来てくれて開口一番「いいね、若いって」と言ってくれて、僕もいのうえも「そうだよね」とうなずいたのを思い出します。
20代から小劇場でやってきて、気持ちだけはあの頃のままだけど、さすがに20代の自分たちじゃない。
若さはうらやましくもあるが、でも、ただ歳を取っているわけじゃない。20代から自分たちが我流で作ってきたものでここまで来ているし、今、その若さに対峙して、負けないだけのものを用意している自負もある。
「ストレートに気持ちをぶつけ合える若さが羨ましいな」と思う気持ち、自分らが彼らの年齢の時にこれだけのプレッシャーを背負う強さがあったろうかと感心する気持ち、でも「まだまだ、負けんよ」という自負。そんなものがないまぜになった「いいね、若いって」「そうだよね」という、小劇場出身50歳越え組の会話だったと思うのです。
芝居を観た次の日は『仮面ライダーフォーゼ』の放映日でした。
ここに出ているキャスト達は、今作で役者として本格的なスタートする人間が大半。
そりゃ、『髑髏城』に出ているキャストとは、経験も実力も比べものにならない。
今から走り出そうとしている若さです。でも、間違いなく彼らなりの魅力がある。
こちらでの僕の仕事は、彼らにどういうフォームでどうスピードを上げさせ、ゴールを示してあげるかだなと思います。
そういういろんな形の若さとガチでぶつかりあえる、今の状況は、かなり楽しい。
胸のざわつきは、そういう血の騒ぎかもしれません。