このようにアマプロに限らず、日本の野球界では試合中の行動などに厳しい体質が見られるが、さらに“うるさい”と言えるのが海の向こうアメリカのメジャーリーグだ。

 特に今年はホームランを打った後の打者の挙動が、相手投手の逆鱗に触れ、それがきっかけとなっての乱闘が度々起こっていた。ジャイアンツのエース左腕マディソン・バムガーナーも相手の本塁打後のリアクションに“キレた”投手の一人だが、映像でそのシーンを見る限り、打者の本塁打後の動きは、多少打球の行方を確認しているものの、自然な動きに見える。

 だが、これが癇に障ったのか、バムガーナーは「早く、走れ!」と言わんばかりの表情で打者に詰め寄り、不穏な空気が漂った。今季はそういった場面が頻発していると感じるが、今に始まったことではなく、メジャーでは長い間、こういった不文律が幅を利かし、選手たちは感情を押し殺してプレーするような場面も少なくない。

 2015年には、地区シリーズ第5戦でホセ・バティスタ(当時ブルージェイズ)が逆転弾を放った際に、豪快なバット投げを披露。ブルージェイズのファンからは、チームの歴史に残る素晴らしいシーンとされたが、この行為に相手の敬意を欠くのではと、メジャーのOBを中心に非難が集まった。

 しかし、これに待ったをかけたのがスーパースターのブライス・ハーパー(当時ナショナルズ)だ。

 ハーパーは、ESPNマガジンで「野球はつまらない。それは自分の感情を表現できないからだ。他のスポーツで行われていることができない」と反論。「これは、これから才能のある選手が野球の世界に飛び込んでくるときに刺激的な要素となるんだ」とエンターテインメント的な側面を好まない野球界に苦言を呈していた。

 確かにハーパーの言う通り、アメリカのスポーツでは感情をむき出しにしたプレーや、ド派手なパフォーマンスがファンの心をとらえているのは間違いない。

 例えば、アメリカンフットボールで選手がタッチダウンを決めた際のパフォーマンスは趣向を凝らしたものがあり、ファンを楽しませる一つの要因となっている。バスケットボールでもリングが壊れんばかりのダンクなど、これでもかと自身の能力を誇示するようなシーンも目立つ。

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