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「ひざに『水がたまる』とはどういうこと?」「すり減ったひざの軟骨は再生しないって本当?」ひざの痛みに悩む人は多く、その解消法にはさまざまな情報が溢れています。週刊朝日ムック『首腰ひざのいい病院2020』では、病院で医師に直接聞きづらい疑問を挙げ、専門医に聞きました。帝京大学病院整形外科教授の中川匠医師がQ&A形式で回答します。
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Q:「体重を減らせばひざの痛みは治る」と言われたが本当?
A:減量で痛みがとれる例は多くあります
肥満の人は変形性膝関節症になるリスクが高まります。体重が重いとその分ひざにかかる負担が大きくなり、痛みが生じやすくなるのです。減量は、変形性膝関節症で最初に選択される保存療法の一つ。
初期や軽症であれば、体重を減らすだけで、ひざの痛みがとれることはあります。肥満の程度が重い人ほど、体重を減らす効果も大きいといえます。
減量に加えて、筋力をつけて柔軟性を維持するための筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法を組み合わせると、さらに効果的です。
Q:ひざに「水がたまる」とはどういうこと?
A:炎症によって関節液が多く産生され、関節内に貯留している状態です
ひざに水がたまるのは、炎症によるものです。炎症性のひざの病気「化膿性関節炎」「偽痛風」のほか、ケガや変形性膝関節症でも水がたまることがあります。ひざ関節は、関節包という丈夫な線維で覆われています。その内側には微量の関節液があり、軟骨に栄養を送っています。通常は関節液が産生される量と吸収される量のバランスがとれているので「水がたまる」状態にはなりません。
変形性膝関節症の場合、軟骨がすり減ると、軟骨の破片が関節包の内側にある滑膜を刺激します。滑膜は異物を排除しようとして炎症を起こし、関節液が通常より多く産生されて、たまるのです。炎症がおさまれば、余分な関節液も体内に吸収されます。炎症が続くと余分な関節液によってひざが動かしにくくなり、可動域が制限されることもあります。