山梨県道志村のオートキャンプ場で、小学1年の小倉美咲さん(7)の行方が分からなくなり、まもなく2週間が経過する。警察や消防、自衛隊が最大時には1日に300人態勢で捜索活動を展開してきたが、4日現在も発見には至っていない。
捜索活動では事故も相次いだ。9月27日には20代男性が「がけから落ちてけがをした」と110番通報。その後連絡がとれなくなり、一時は行方不明に。その後29日に腕や手首を骨折する重傷を負いながら、自力で下山した。10月1日には、40代男性が子グマ2頭に遭遇し、逃げる際に転倒して骨折などのケガをしたという。山梨県警は9月30日に美咲さんの写真公開に踏み切り、情報提供を呼び掛けた。
取材を続ける新聞記者はこう話す。
「発見はおろか、衣類や所持品なども見つからず、捜索は難航しています。県警も防犯カメラの解析や聞き込みなどの範囲を広げて捜索していますが、とにかく手掛かりが見つかっていないのが現状。遭難などの事故だけでなく、誘拐などの事件も含めてあらゆる可能性が考えられます」
なぜ行方が分からなくなってしまったのか。あらゆる可能性が考えられるが、今回は「誘拐」の可能性を探るべく、犯罪に詳しい防犯ジャーナリストの梅本正行・日本防犯学校学長とともに、現場を歩いた。
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住宅地が広がる相模原市から、国道413号を車で西へ1時間半。徐々に山間の道に差し掛かった。
「警察はどうしてもプライバシーを考慮して、事件性が低い場合には情報を秘匿にしがちです。美咲さんの写真を公開したということは、事件性を視野に捜査しているということでしょう」(梅本さん)
現場が近づくにつれ、梅本さんの口調にも熱が入る。
さらに30分、山道を進んでいくと、美咲さん家族ら28人がキャンプをしていた「椿荘オートキャンプ場」が見えてきた。捜索活動などが続いているため、現在は一時的に休業している。受付を通過して100メートルほど奥へ進むとキャンプ場だ。(写真(1))そこで梅本さんが口を開いた。