上記の書評を書くため、家にある大量のレコードを引っ張り出して聞きながら同書を読み進めたというタモリ。その感想を「楽しい時間ばかりが過ぎていく」とつづっている。趣味の時間を増やしたいという思いもある一方で、「ブラタモリ」(NHK)や「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)など、自らの趣味を前面に押し出した番組は終わる気配はない。「ブラタモリ」はレギュラー化したのが2009年からで、当時は半年に1シーズンのみの放送だった。テーマとなる場所も仕事の都合上都内に限られていたが、「いいとも」終了後の15年からは週1回のレギュラー放送となり、その活動の場は日本全国や海外へと広がっている。完全なリタイアはまだ先だろうが、その準備段階に入っているのは確かだろう。

 TVウオッチャーの中村裕一氏は、タモリのこれからについてこのように予想する。

「そもそも本名の『森田』をジャズバンドの隠語調に入れ替えた『タモリ』を芸名としただけあって、人をくった芸風が一番の持ち味。ハナモゲラ語や四ケ国語マージャン、イグアナのモノマネなど、圧倒的な知識と観察眼に裏づけされたシュールかつインテリジェンスな芸と、物事をフラットに俯瞰するバランス感覚を武器に、芸能界で40年以上もトップを走り続けてきたのですから、もはやいつ引退しても誰も文句など言わないと思います。はっきり言って、あとは本人のやる気次第でしょう。現役から退くと“燃え尽き症候群”に陥らないか心配ですが、そこは多趣味なタモさんなので、たとえテレビから身を引いたとしてもまったく問題なく悠々自適に暮らせるはずだと思います。人生100年時代と言われる今だからこそ、肩の力を抜くまった彼の生きざまに憧れる人が多いのもうなずけます」

 独自の哲学や知識をつかって、大人気番組の数々を引っ張ってきたタモリ。末永く活動してほしいという視聴者の思いは彼に届くのか。(黒崎さとし)

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