2015年から幌延町は「秘境駅フェスタ」を開催。参加者は毎年延べ200人を超え、同年秋以降は、「秘境駅キャラクターコンテスト」も実施している。全国からの応募により、糠南駅の「ぬかにゃん」や下沼駅の「ぬまひきょん」など、それぞれのイメージを表現した、愛らしいキャラクターが決定された。
ぬかにゃんは愛嬌のある猫の姿に、待合所として設置されている「ヨドコウ物置」をモチーフにしている。15年には自社商品の物置が紹介されたテレビ番組を視聴した製造会社・淀川製鋼所社長の指示で社員が現地を訪れ、開きにくくなっていた扉を無償で修繕したというエピソードも残る。
幌延駅を除く町内7駅には、以前から訪問者のコメントが書き込める「駅ノート」が置かれていた。14年に総計220件だった書き込みは、15年に750件、16年には1817件まで急増した。
■携帯クリーナーを販売し、来訪者の動静把握に活用
幌延町では、調査の意味合いも含めて2015年7月、「秘境駅携帯クリーナー・糠南駅編」(完売)の試験販売を始めた。当初は町役場と問寒別出張所のみで平日の8時30分から17時15分までの販売。もちろん内部の参考資料として以外にデータを利用することはないものの、購入時に住所・氏名を記載してもらうという、購入希望者にとってはややハードルの高いアイテムだった。
しかし、糠南駅クリーナーは幌延町側の予想をはるかに上回る人気を博した。町にとっては来訪者の居住地・人数・時期など、“今後”につながる情報を得るための、重要な参考資料ともなった。
それらの結果を踏まえ、幌延町は同年10月に策定した「幌延町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に、「鉄道系資産を新たな観光資源として位置付け、関連イベントの開催等により、観光振興、交流人口の増加を図る」と盛り込んだ。
まちおこしの具体策として、幌延町は「あなたが守る秘境駅プロジェクト・マイステーション運動」を展開している。廃止対象に挙げられた3駅はもちろん、町内全駅の存続のため、金銭的支援として「ふるさと納税」、人的支援として「駅保全活動」を町民以外にも広く呼び掛けている。