「よこすかピッツア・ブラック」。「やんちゃ家」「ブロードバウム」「かっぱ」など、様々な店で「黒いピザ」を提供。プロジェクトの参加店舗は「三浦半島はイタリア半島プロジェクト」のWebサイトで確認できる。https://www.laumi.jp/italy-P/(写真提供/やんちゃ家)
「よこすかピッツア・ブラック」。「やんちゃ家」「ブロードバウム」「かっぱ」など、様々な店で「黒いピザ」を提供。プロジェクトの参加店舗は「三浦半島はイタリア半島プロジェクト」のWebサイトで確認できる。https://www.laumi.jp/italy-P/(写真提供/やんちゃ家)
この記事の写真をすべて見る
「三浦半島はイタリア半島 コンフィ」。タコ・サザエ・三浦半島野菜をガーリックオイルで漬けた大人気商品だ
「三浦半島はイタリア半島 コンフィ」。タコ・サザエ・三浦半島野菜をガーリックオイルで漬けた大人気商品だ

 三浦半島は、神奈川県南東部にある小さな半島だ。マグロで有名な三崎や米軍基地の街・横須賀、黒船来航の地・浦賀などの見どころで知られている。都心から1時間弱とそう遠くない距離にあり、豊かな自然と歴史的な文化が融合する魅力的なエリアだ。
しかし近年、人口の減少が著しい。半島地域の4市1町(横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市および葉山町)のうち三浦市は、神奈川県内の市では唯一の消滅可能性都市に指定された。

■三浦半島のポテンシャルの高さに驚いた

 20年ほど前、結婚を機に横須賀市に越してきた料理研究家の長谷川りえさんは、料理の素材を探しに出かけた農家の直売所で、その食材の豊かさに驚いた。

「おばあちゃんが売っているようなごく普通の直売所に、都内なら外国人が行くような高級スーパーにしか置いていない希少なイタリア野菜がたくさんあったんです。ルバーブ、ロマネスコ、コールラビ、チコリ。ズッキーニもよく見かける緑色のものだけじゃなく、黄色とか星型とかトランペット型のものとか、すごい種類が豊富で。トマトもイタリア種がいっぱい」

 漁港近くの魚屋に出かけたら、そこにもスカンピ(アカザエビ)やマグロ、タコ、イカなど、イタリア料理に欠かせない魚がたくさん! それがまた安い! イタリア料理店の厨房で仕事をしていたこともある長谷川さんは、腕が鳴るのを感じた。

「もうびっくりするくらい食材がイタリアと似ているんです! それで興味をもって調べてみたら、三浦半島とイタリア半島との共通点がたくさんあって。緯度もほぼ同じで、細長く南東に伸び、その傾き加減もそっくり。角度もほぼ地形の印象もブーツ型」
 
 この発見に、長谷川さんは興奮する一方で、残念な気持ちにもなった。こんなにもポテンシャルの高いエリアなのに、その魅力はあまり知られていない。その証拠に人口も年々減り続けている。

「獲れる野菜や魚介の新鮮さ豊富さなど、地元の人には当たり前になっていることが実は特別なことなんだと気づけたのは、もしかしたら私がヨソ者だからなのかもしれない。ということは、食の部分から三浦半島の魅力を発信してこのエリアを盛り上げていくことが私の役目なのかも、と思ったんです」

次のページ
神奈川県の事業の一環としてスタート