今回は『アイアンマン2』の感想です。ネタバレもありますので、気になる方は映画を観てからお読み下さい。
と、いうわけで、公開してすぐいそいそと行ってきました、『アイアンマン2』。「公開初日に行くんだ!」と、土曜の午後のチケットをネットで買ったあとに、金曜日公開だったことを知り、軽くショック。そういえば最近の洋画の大作は、金曜公開が多いですよね。
でもまあ、いずれにしろ金曜日は忙しくて観に行く暇などなかったのですが。
映画の出来は、アメコミの映画化としては、充分に楽しめました。
アメコミの時には地味な印象もあったアイアンマンですが、実写にするとあのパワードスーツのメタリックでシャープな感じが、素直にカッコいいと言える。
ガジェット好き、ヒーロー好きなら見ているだけでワクワクします。
実際、映画版のアイアンマンは、『バットマン』の主人公ブルース・ウエインや『スパイダーマン』のピーター・パーカーのように、あんまり悩まない。
主人公のトニー・スタークは、天才科学者にして巨大軍需企業の社長。自ら発明したパワードスーツを身にまとい、正義のヒーロー、アイアンマンとなる。第一作のラストで、公の場で自分がアイアンマンであることも明かしてしまうから、正体が秘密というわけでもない。
もちろん映画ですので、主人公の葛藤は用意されてます。
でも、それも、パワードスーツの動力源であり自分のペースメーカー代わりに胸に埋めこんでいる小型エネルギー発生装置の副作用で、血液が毒素で犯され生命の危機に直面しているという、ある意味自業自得なもの。
主演がロバート・ダウニー・Jrという、いい歳のおっさん俳優であることもあり、他のアメコミ映画に比べれば、どこかお気楽というか、素直にスーパーヒーローの活躍を楽しめばいいという気分で観られるのですね。
ヒース・レジャーの怪演で、9.11以降のテロリズムと正義の問題を突きつけてきた『ダークナイト』なんかとは緊張感が違う。
でも、この映画はそれでいいと思うのです。
今回の敵は、ミッキー・ローク。
ロバートとミッキー、どちらも俳優としては、一度栄光を手にしながらどん底を見、さらに復活したというキャリアがあるだけに、二人の対決には趣があります。
とても天才科学者には見えないおっさん二人が、コンピューターをやすやすと操ってハイテクのバトルマシンを作っていく様は、実にかっこいい。演じている二人には「あんた達本当はコンピューターのことなんか全然わかってないだろう」と突っ込みたくなる部分もあるのですが、それもご愛敬。
ただ、クライマックスで、いよいよバトルスーツに身を包んだミッキー・ロークがアイアンマンの前に現れて、「さあ。これからパワードスーツのガチンコ対決か!」と思ったら、意外とあっけなく決着がついてしまったのは拍子抜けでした。
前作もそうだったけど、このシリーズ、クライマックスのバトルがもう一つなのがもったいないなあ。
でも、本当にCGの技術はアップしましたね。
もう、画面上で多少のことが起きても驚かない。
この技術があってこそ、全身パワードスーツのアイアンマンの活躍も、それらしく見せられるのだと思います。
10代後半から20代初めまで、ちょっとだけアメコミが好きだったことがあります。
小野耕世氏の『バットマンになりたい』というアメコミの紹介本を読み、そこで語られる二人のキャプテン・アメリカの物語や、ドクター・ドゥームやギャラクタスというスーパーヴィランの存在に魅せられたのがきっかけでした。
時々、洋書店にいき、輸入されていたマーヴェルコミックスやDCコミックスを買ったりしてました。
『スター・ウォーズ』が公開されたあと、洋画のSF大作がどんどん発表されていた時代、光文社が『ポップコーン』という、誌面の半分を日本のマンガ、半分をアメコミを載せていた雑誌を出したことがあります。その時期に、光文社がコミックスサイズで『スパイダーマン』や『ファンタスティック・フォー』『マイティ・ソー』なども刊行していました。
出版社は別だけど『月刊スーパーマン』っていうのもあったな。
あの当時、ちゃんとマーヴェルとDCの二大アメリカンコミックスが紹介されていたんですね。
そこまでアメコミファンがいるかなあと思いながらも、僕は買っていたのですが、どちらもやはり長続きはしなかった。
その後、就職したりして、時間もなくなって、自然とアメコミ熱は冷めました。
そんな自分からすれば、今のこの、アメコミ映画が超大作でガンガン作られる時代は夢のようです。
ただ、世界での大ヒットぶりに比べれば、日本ではそれほど当たってはいないのは、やはり、日本には日本のスーパーヒーローがいるからですかね。
今や『平成仮面ライダー』なんか、年に何本映画撮ってるのって感じだし。
毎週毎週完全新作で特撮ヒーロー番組が複数放映されてる国は、そうないと思いますよ。
特撮番組の脚本も好きで書いている身としては、『アイアンマン』みたいな映画を観ると、「日本も頑張って、世界に売ろうよ」と思ってしまうところはありますね。