「もっと早く歯の健診や治療をしておけばよかった……」。日本歯科医師会が15~79歳の男女1万人を対象におこなったアンケート調査(2018年11月8日発表)で、4人に3人がこう思っていることがわかりました。いったい何を後悔しているのでしょうか? 調査から見えてくるものは? 著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか? 聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中の歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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これは日本歯科医師会が2018年4月に実施した「歯科医療に関する一般生活者意識調査」から明らかになったものです。「もっと早く歯の健診や治療をしておけばよかった」ということは、取りも直さず、なんらかの理由で、歯科に行くタイミングが遅れたということでしょう。
実はこのアンケート調査では、「日常生活」「人間ドックなど健康管理」「歯科健診・受診」の各事項について、回答者に、「気になり始めたらすぐに対応する」「どちらかといえば対応する」「どちらかというとギリギリまで対応しない」「ギリギリまで対応しない」のどれに当たるかをそれぞれ答えてもらいました。
そして、「気になり始めたらすぐに対応する」「どちらかといえば対応する」を「対応派」、「どちらかというとギリギリまで対応しない」「ギリギリまで対応しない」を「先延ばし派」としてその数を分析しています。
その結果、「日常生活」については「対応派」が73.4%と多いのに対し、「歯科健診・受診」については47.3%。つまり、先延ばし派のほうが多く(52.7%)、これは「人間ドックなど健康管理」の先延ばし派(48.4%)よりも高い数字でした。
つまり、ほかのことに比べ、歯の問題については気になることがあっても、後回しにしがちな傾向があるといえるのです。ただ、この結果についてはある程度、想定内ではありました。
「もっと早く治療を始めればよかった」「もっと早く歯科医師に診てもらえばよかった」という声は、患者さんからしばしば聞かれるからです。