1月18日に『薔薇とサムライ』の製作発表が行われました。
登壇者は演出のいのうえひでのり、作詞の森雪之丞さん、ダブル主演の古田新太と天海祐希さん、そして脚本の僕の五人。
控え室で古田達と「天海さん以外は派手な人がいないから、人が集まるかなあ」などと軽口を叩いていたのですが、会場に入ってみるとそれなりに取材陣で埋まっていて、安心しました。
壇上から挨拶しながら、いつの間にか、こうやって製作発表を行うのも当たり前の感覚になってしまっていることに気づき、おかしなもんだなと思っている自分もいました。
ほんとに、いつの間にか、こんな風になっている。
自分としては、20数年前、大阪オレンジルームで『阿修羅城の瞳』の初演を打った時に動員が1000人行ったと言って大喜びしていた頃と地続きでいるので、今、こういう状況になっていることがほんとに不思議な気分になることがあるのです。
出版社の社員なので、本来なら取材する側に回っていてもおかしくない。なのに、マスコミの前で挨拶することにすっかり慣れた自分もいる。
でも、終わったら、会社に戻ってまた会社員としての仕事を行う。妙なもんだなあと思うけど、それを面白がっていられたから、続けて来られたのでしょうね。もちろん、会社と職場の理解があってこそですが。いろんな意味で環境に恵まれたんだなあと思います。
それはさておき、今日は『薔薇とサムライ』の初顔合わせでした。
全員集まって挨拶したあと、本読みをする。全キャストが集まって、読み合わせをするのです。
ここで初めて、自分の書いた台詞が役者の肉体を通じて表現されるわけで、脚本家としては、すごく楽しみな反面、試される場でもある。つまんない芝居書いてたら、一同の白い目がこちらに来るわけです。まあ、さすがにそこまで露骨な現場に出くわしたことはないですが、それでも「いまいちだな」という時は、口に出さなくても雰囲気は感じます。振り返ると、いくつかそういう作品もありました。
まあ、本読みではもう一つでも、舞台に上がった時にはいい芝居になっている場合もあるのですがね。
『薔薇とサムライ』に関して言えば、上々だったのではないでしょうか。
最初の本読みから、随分笑い声があがりました。
もちろん狙って書いた部分はあるのですが、それぞれのキャストがその持ち味で想像以上に膨らましてくれています。
楽しい芝居になりそうです。
ただ、演出のいのうえは「いろいろやりたいことが多すぎて、時間が足りないなあ」とちょっと渋い顔でしたが。
そう言えば、AERAの担当から「製作発表の時に、一番晴れ晴れとした顔をしていたのは中島さんでした」と言われました。
確かにあの席で、仕事を終えていたのは僕だけでしたからね。
去年はかなりプレッシャーがあったんで、ホッとしていたのかもしれません。
まあ、雪之丞さんは、僕の脚本が遅くなったせいで押し押しになっているので、申し訳ない部分はあるのですが。
とにもかくにも、『薔薇とサムライ』、いよいよ始動しました。