おむつに使われている高分子吸水材は、ほとんどがポリアクリル酸塩という白色~淡黄色の粉末で、水分を含むとゼリー状になる。脱脂綿やティッシュペーパーなどの吸水量が重さの10~20倍程度なのに対し、高分子吸水材は、水で200~1000倍、尿でも30~70倍と、極めて高い吸水能力を誇る。
また、高分子吸水材は、一度吸水した水分は、外から多少の圧力がかかってもほとんど放出しないなど、高い保水力もあわせもっている。赤ちゃんの紙おむつは、M~Lサイズでおおよそ30g前後。とすると、1枚あたり1kgもの量のおしっこを吸水できる計算だ。1回のおしっこの量を50ccとすると、2回分で100cc、4回分で200cc。その重さのおむつを、よちよち歩きの体重10kgほどの赤ちゃんが腰にぶら下げていることを想像してみてほしい。たしかに腰に悪そうだ。
しかも、お尻が重いことで動くこと自体が億劫になり、運動不足になるという弊害も指摘されている。小児科医で、子どもの成長発育支援を目指す一般社団法人すこやかのわの代表理事でもある木林京子さんは、「最近、子どもたちの間に、運動機能の低下や障害をきたすロコモティブシンドローム(運動器症候群)が広がっていることは事実です」と指摘する。
ロコモティブシンドロームとは、加齢や運動不足によって筋肉、骨、関節などに障害が発生し、身体機能の低下をきたす状態のこと。これまで高齢者特有の症状と思われてきたが、文部科学省の委託を受けて埼玉県医師会が幼稚園から中学生までの子どもに運動器の検診を行った結果、なんと約40%にロコモティブシンドロームの兆候がみられたという。
「住環境の狭さや遊び場の不足などで、ハイハイをしない、歩かない赤ちゃんが増えていることも『ロコモ』が広がっている理由のひとつですが、『重たすぎるおむつ』が関係している可能性もないとは言えません」(木林さん)