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理不尽な存在との付き合い方を描いた『頭に来てもアホとは戦うな!』がシリーズ75万部を突破した。悩める人々を救ってきたこのベストセラーが、知念侑李(Hey! Say! JUMP)主演でドラマ化され、好評放送中だ。
ドラマ化を記念して、原案者の田村耕太郎と、脚本を担当する吹原幸太が、放送に先駆け、各回のエピソードに登場するアホの特徴や、かわし方について議論する。今回は「自分ルールを押しつけてくるアホ」について。
■サウナを見て感じる多様性を認めることの大切さ
吹原:第5話に登場するアホは「自分ルールアホ」です。なりゆきでサウナに通うことになった小太郎が、そこを取り仕切るボスのような存在に翻弄されます。サウナには独特のルールがあって、大奥のようなところでした。暗黙の指定席があったり、熱風を送る熱波師にコール&レスポンスをしたり(笑)。仲間うちで楽しむにはいいと思うのですが、なかには、そんな自分ルールを押しつけてくるアホもいるんです。
田村:印象ですが、自分の基準でコントロールしようとしてくる人間は、日本に多いと思います。私が住んでいるシンガポールは、ダイバーシティに富んだ都市です。言語、人種、宗教、文化が入り交じっているため、みんなが自分のマイルールで生きています。それだけに、他人にマイルールを押しつけることはタブーとされています。
吹原:すべてがアンタッチャブルなわけですね。
田村:例えば、娘の誕生日パーティーを開こうとしても、アレルギーはもちろん、宗教のタブーにも気にしなければいけません。
吹原:それは大変ですね(笑)。
田村:そういう世界にいると、人を強制的にコントロールしようとするのは不可能だなと感じるんです。一方、日本はほぼ同じ人種で、みんなが空気を読み合って、同調圧力をかけやすいので、自分ルールを押しつけやすい環境にあるといえます。
吹原:そういうことですか。
田村:シンガポールをはじめとする海外では、個人の差異を尊重しなければなりません。そうでなければ、最悪の場合には裁判や刃傷沙汰にまで発展します。翻って、移民を広く受け入れようとする日本でも、多様性を認めることが大事になるでしょう。それが「自分ルールアホ」の脚本を見て、私が感じたことです。
吹原;ドラマの内容は、かなりばかばかしいのですが、そこまで深読みしていただいて恐縮です(笑)。