■嫉妬は人類に必要な感情でもある
吹原:ただ、嫉妬すること自体は、すごくいいことだと思っています。嫉妬を燃やすということは、逆に言えば、その相手を目標にしているということですから。そんな時、相手の足を引っ張るのではなく、自分を成長させる方にエネルギーを燃やしたいものです。
田村:まさにおっしゃるとおりです。長い人類の進化のなかで、生存に必要だからこそ、嫉妬が人の感情として残っているのだと思います。逆に言えば、嫉妬の感情を持たなかった人は、淘汰されてきたのではないでしょうか。
吹原:なるほど。
田村:ただ、嫉妬にも、海外との日本の違いはありますね。海外の嫉妬は、仕事のポジション争いに限定しているように感じます。一方で、日本の場合は、そういうポジションが絡まなくても、嫉妬をしてくる人がいるんです。
吹原:なぜなのでしょうか。
田村:日本は余裕がある社会だからでしょうね。シンガポールは生き馬の目を抜く社会で、気を抜いたらもう社会的に脱落してしまいます。でも、日本はそこまで厳しい社会ではないので、他人の日常にまで関心を向けることができるんでしょうね。
吹原:そこまでハッキリと違うんですね。
田村:ポジションが絡んだ嫉妬は、本当に生死がかかっています。
吹原:ちなみに、田村さんご自身が嫉妬したことは?
田村:今はあまりないですが、政界にいたときはありましたね。こんなに自分ががんばったのに、なんであの人が登用されるのがわからないと、眠れない夜を過ごしたこともありました。
吹原:そんなときはどうしたのですか。
田村:ひたすら耐えましたね。それができたのは、自民党の参議院幹事長などを歴任した青木幹雄先生が、「いつか君の時代が来るから、じっと待つように」と教えをくださったからでした。今でも、その教訓を胸に生きています。