ゴールデンウィークのイベント三昧の話の続きです。
5/2のSFセミナーのあと、5/6に『TALK LIVE ANIMATED 02』に参加しました。
これは『天元突破グレンラガン』のスタッフ達が自主的に行う、非公式イベント。副監督の大塚雅彦(おおつかまさひこ)さんが旗振りで、監督の今石洋之(いまいしひろゆき)さんや作画監督の錦織敦史(にしごりあつし)さんが出演するというのに非公式も何もあったもんじゃないという気はしますが。
会場のロフトプラスワンは、『グレンラガン』の放映前に「ストーリーライターズナイト」というアニメのシナリオライターのトークショーや、テレビ放送終了後のトークイベント、ムック掲載用の公開座談会など、何度も『グレンラガン』を語った想い出深い場所です。
『TALK LIVE ANIMATED』は、テレビ放映終了後、一度開かれています。
劇場版の公開前に、『グレンラガン』のキャラや世界観を使ってオリジナルアニメーションによるミュージッククリップのようなものを作ろうという「グレパラ」というOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)企画がありました。
その発売告知とあわせて、作画スタッフ達が集まって『グレンラガン』を語ろうというイベントでした。
テレビにしろ映画にしろ公開前のパブに関しては、今石監督が忙しい事もあり、作品を語る時にはシリーズ構成でありメインライターである僕が、駆り出されていました。
まあ、元来おしゃべりなほうなので、作品を人前で語ることは嫌いではありません。ただ、その場のノリで思いついた事をポンポン喋ってしまうウケ狙いの性格でもあるので、ファンの皆さんから聞かれた質問に関しては、煙に巻くような発言も多々あったとは思います。
まあ、それも含めて、他のアニメ作品よりは随分と脚本家が前に出ているように見えてはいるのだろうとは自覚してました。
『TALK LIVE ANIMATED』はアニメーターの方達がメインのイベントです。あまり自分が出しゃばるものでもないと、前回はスルーしていました。
でも、今回の『螺巌篇』は、テレビから劇場版と4年近く携わってきた『グレンラガン』という作品の最終作です。
他にイベントもありそうにないし、公開すぐのファンの皆さんの顔を直接見たいと言う気持ちを我慢する事は出来ず、ガイナックスで宣伝関係を担当している真鍋さんに無理を言って出演させてもらうことにしました。
150人も入れば満員になる狭い会場。
そこに集まってくれたファンのみなさんの満足げな顔を見て、『螺巖篇』も大丈夫そうだと安心しました。
お客さんからの質問コーナーもあったのですが、いつもと同じようにポンポンと、口からでまかせだったりその瞬間に思いついた事9割にちゃんと伝えたい事1割くらいのペースで答えていきました。
初期のイベントだと、「この人は何を言ってるんだろう」とキョトンとした雰囲気も結構あったのですが、最近はファンのみなさんも慣れたもので「あー、またインチキ親父のデタラメが始まった」よ」とスルーすべきところはスルーしてきます。
スタッフ達も、大きな仕事をなしとげた満足感からか、ハイになって喋る人も多く、お客さんとあわせて幸せな空間が出来ていたと思います。
壇上のスタッフと会場のお客さんをあわせて、これだけ感情が共有できるのも、テレビ版から考えれば4、5年一つの作品を作り続けてきた時間の長さがあればこそだろうなと感じました。
非常に楽しかったのですが、今、「本当にこれで祭りは終わりだなあ」としみじみとした気分になるのも否めません。
高校三年生の文化祭が終わったあとのような気分でしょうか。
ガイナックスのメンバーとこうやって、一つの気分を共有することもしばらくはないでしょう。
芝居の公演が終わったら二度とそのメンバーとその時の気分は取り戻せない。その感覚は演劇で慣れているはずなのに、今回はかなり名残惜しいです。
自分自身も、この作品に関わった事で対外的にも随分変化がありました。
演劇の世界とは違う認知のされ方をしたと思います。それは本当にありがたいことです。
ですが想い出の背中ばかりを追いかけていても、何も始まりません。
しばらく別の道を進み、どこかでまたバッタリと出くわす。その時にまた新しい化学変化が起こるかもしれない。
それを期待して、ガイナックスの皆さんとはしばしのお別れだなあと思っています。