ひろ:「怒っても仕方ない」が先に来てしまうんですよね。会社では放送の現場の仕事もしているんですが、スタッフが録画ボタンを押し忘れていて1回の収録がパーに。でも、昔から仕事が苦手だということを知っている友人だったので、「またやらかしたな~」と思うだけですね(笑)。

大:そもそも人に怒りがわかないタイプなのでしょうか??

ひろ:そうですね。ただ「こういうタイプの人と関わるとまずい」などは思います。例えば周りに物を盗む人がいたとしても、「このタイプは物盗むんだ。あぶないな」と思うだけで、怒っても仕方がない。
 自分が理不尽に叱られたとしても「この人は理不尽なことを言う人なんだ、これはこういうタイプなんだ」と区分けをしていくだけです。例えば、人を噛む犬を一生懸命説得しても仕方がないじゃないですか。「この人は犬のタイプだな」と思うだけです。

大:「説得してどうにかなるような人ではない」というあきらめのような感覚でしょうか。

ひろ:すごく労力をかければなんとかなるかもしれないですが、その労力に値するかどうか、ですよね。親戚とか家族であれば、会うたびにちょっとずつ方向修正していく方が自分のためになるかもしれません。だけど会社の中では、その人は仕事を辞めるかもしれないし転職するかもしれないし、自分も転職するかもしれない。「相手の考えを変えよう」と思う必要はないと思います。終身雇用制も今は微妙ですし、同じ相手とずっと関わることはないんじゃないですか。

大:その一方で、会社であればその相手と明日も確実に関わらないといけないじゃないですか。遠い未来より近い未来のことがどうしてもストレスに感じちゃうのですが……。

ひろ:そういうのは、「冬は寒い」というのと一緒で、「明日も寒いよね」という気持ちです。会社なら、大体3年くらいで異動がありますよね。自然現象と同じで、いつかは去っていくだろうという考え方です。

■「論破力」にこだわる必要はない

――バイト先の店長に怒鳴られたらゴミ箱を蹴とばす、先輩に別室で怒られたらメーリングリストで反論する、など「本に出てくるテクニックをマネするのが難しい」という声もあります。

次のページ
使わないで人生楽しいなら、使わないほうがいい