■おじと道元が取り持つ縁!?

「彼は曹洞宗のお寺に通っていて、定年後は僧侶として働きたいと話してくれました。私はと言うと、ちょうど曹洞宗の開祖の道元の本を読んでいまして。その頃、おじに『人生考えていて……』と相談したところ、『この本を読むといいよ』と勧めてくれたのが道元の本だったんです。こんな偶然があるのかと驚きました」

 男女にかかわらず、宗教の話は敬遠されがちだが、会ったその日にいきなり心の深いところで通じ合うことになったのだ。

 芳子さんは渡しそびれた連絡先を、その場で久志さんに渡すことができた。

 そして3日後、久志さんから電話がかかってくる。「家の近くに来ているので会ってくれませんか」という連絡だった。仕事に行く途中の駅が芳子さんの家の最寄駅で、どうしても会いたくなった久志さんは、帰りに寄ろうと勇気を出して電話をかけたのだった。

「仕事の後、たった1時間ほどなのに、わざわざ電話をくれて、すごくうれしかったです」

 男女がつき合い始めるのに、年齢は関係ない。芳子さんは少女のようにときめいていた。

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