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42歳で電撃結婚、翌年には高齢出産。激動2年を経た女優・水野美紀さんが、“母性”ホルモンに振り回され、育児に奮闘する日々を開けっぴろげにつづった連載「余力ゼロで生きてます」。今回は電動アシスト自転車について。
* * *
電動ママチャリのバッテリーの寿命が来た。
フル充電しても、1キロも走れば空っぽに。
充電の切れた電動自転車は、もう自転車ではない。
夢の中で、早く進みたいのにこいでもこいでも重たくて進めない、あのやつだ。
もう、降りて押して進むしかない。
それはもはや、リアカーと同等だ。
最初からリアカーを引いているならあきらめもつこうというものだが、本来ならその10倍のスピードでスイスイ進めるはずのポテンシャルを秘めたそいつを押して歩く切なさよ。
さっきまで50%あった充電が、急に8%になった時の驚きと焦りを、体験したことがありますか。
アリーナの人気歌手のコンサートに行って、3曲聴いたら、「次、最後の曲です」って言われたような。「あれ!? あたしタイムスリップした??」みたいな。
軽く近所の公園をジョギングで一周しようと走り始めて、気付いたらおばあちゃんをおんぶして走っていた、みたいな。
保育園の送り迎えになくてはならないママチャリ。
ウチから保育園までは、急な坂を登らなければいけない。
チビを抱っこして歩いて行くとなると送り届けた時点で午前中の体力は終了だ。
急いでバッテリーを買い換えようとネットで調べた。
するとバッテリーだけで3万円!
高いなあ。
だったら思い切って、新車に買い替えるべきか。
今乗っているHYDEE Bというチャリは、もう8年乗っている。
まだ結婚の気配すらなかった頃、一応、一応、ベビーシートを取り付けられるタイプのこれを選んだ。
高い買い物だし、長く乗ることを想定して、この先、もし結婚して、もし子供ができても買い換えずにカスタムするだけで乗り続けられる方がいいだろうと考えたのだった。