こういう本はもちろん軍事とか外交に詳しい人が書いているんだけど、普通の人が安全保障なんて考えないでしょ。みんな自分の今日、明日の暮らしをどうするか、家族とか子どもをどう育てていくかでいっぱいいっぱいですから。僕も含め、ね。
問題は、そういう思想の無い人たちが、もし憲法改正に政治が動き始めたときにどうするかってことなんですよ。みなさんの考えが、大きなことを決める一つの要因になるのに。
今年は安倍政権が改憲に動く年になるだろうと思うんです。国民投票になったとき「戦争は嫌だ、反対!」みたいに単純化される可能性もあるし、春の統一地方選と夏の参議院選挙が終わった後に動き出すとしたら、もう日本はオリンピック目前。高揚感で「日本行くぞー!」っていう空気に流されちゃって、バタバタと進んでいくのも悔しいじゃないですか。だから思想は抜きにして、自分なりに考えるものいい時期かもしれないと思ったんですよね。
だって、安全保障ってニュースなんかで見てもよくわからないじゃないですか。ネットではよく右だ左だって言われてるけど、普通に生活していたら安全保障には何が必要で何が必要じゃないのか、どんな意味とか意図があるのかとかもよくわからない。
僕のきっかけの一つは、以前「羽鳥慎一モーニングショー」でネトウヨをテーマにした玉川徹さんのコーナーでした。こういうテーマをワイドショーが避けずに扱うのは、本当にすごいことなんです。そこでインタビューされていた、文筆家の古谷経衡君が「基本的に中国と韓国と朝日新聞が大嫌い。この3つの条件が揃えばネトウヨです」って言っていたのも個人的に面白かった。ネトウヨは所得の低い若者がやっているイメージだけど、実態は自営業の富裕層が多いとか。時間があるから、テレビを付けっぱなしにしてネットに書き込んだりしているんですよって解説していました。
それから、もうちょっと知りたいなと思って本を読んで、年末には古谷君と対談もさせてもらいました。去年は百田尚樹さんの『日本国紀』が批判も含めて話題になったこともあったし、なんとなく今年は考えてみようかなと思ったんですよね。