――砂守勝巳さんが沖縄を撮ったドキュメント写真も印象に残っているそうですね。

 20年ぐらい前、沖縄に通っていました。現地で出ている雑誌や本を買いそろえていたんです。そんなとき、砂守さんの写文集『オキナワ紀聞』が出て、いっそう興味をかき立てられた。元青線だった歓楽街を彼は昼と夜、きちんと撮っている。夜は怖い場所ですが、昼間は壊れかけた建物があらわな廃虚のような場所です。

――写真は撮られますか?

 フィルム時代は軽い一眼レフを使い、今はコンパクトのデジカメを使っています。東京の街でも気に入った光景があると撮っておきたくなるし、写真に残しておかないと忘れてしまいますからね。平成に入る前後、全国の競輪、競馬場をすべて回って写真に残そうと思ったことがあります。90カ所ほどでしたが、意外と簡単に達成してしまいました。写真があると、いつになってもそのときのことを思い出すことができますから。

――ドキュメント性の強い記事は大切ということですね。東松照明さんがアメリカ統治時代の沖縄に行くとき、取材パスを本誌が出しました。

 新聞は日刊で、ネットニュースはさらに速いんですが、月刊誌というインターバルは逆にいいんじゃないでしょうか。すぐに忘れ去られてしまう時代に、咀嚼したうえで見せるべき写真を載せていくこと。

――かつてのグラフ誌には、そうした写真がありましたね。

 ベトナム戦争の頃の一連の名作などは、多くの人の記憶に残っているでしょうね。

――「アサヒグラフ」は2000年に休刊しますが、同じ時代を並走していた「アサヒカメラ」にもグラフ誌的な写真を載せた時期がありましたね。

■時代を映し出す力

――ドキュメントの必要性を指摘していただきましたが、そのほかには?

 現代に生きる人に寄り添ったアプローチが欲しいですね。サブカルチャーであり、さらにテイストの濃い「アングラ」でしょうか。例えば寺山修司さんは立木義浩さん、須田一政さん、鋤田正義さん、森山大道さんといった写真家と交流があり、「アサヒカメラ」もそうした写真家たちの動向を伝えていましたよね。

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