だから芸能事務所の門を叩いたとき、すでに才能や運の競争は始まっているんですよ。人を選ぶ力も、自分を客観的に見る力も必要だし、それができないなら諦めなきゃいけない。止めるべきときもあると思います。

 もしかして傍からみると、僕は芸人になるという夢を叶えた成功者みたいに見えるんだろうか。実は、昔の理想とは違う部分がめちゃくちゃありますからね。47歳のいまごろはMCとしてたくさん番組持ってるはずだったんですが、実力ある人が大勢いて中途半端なポジションだし、いまだに仕事があってもドキドキして焦ってたり、仕事がないって不安になったり、将来を考えたら眠れなかったりしますから。それに本当はバナナマンやおぎやはぎみたいなスタイリッシュな芸人になりたかったはずなのに、食うために流れ流れて、自分が一番嫌いな「大声を出してわめき散らす」っていうスタイルがハマってしまった(笑)

 夢が叶ったかというと、自分が描いていた形とはかなり違うわけです。こういう人は僕以外にもいると思うし、君が憧れている人も実はそうかもしれない。

 アイドルは男も女も可愛くてイケメンじゃなきゃいけないし、ある程度、歌もダンスも上手くなきゃいけない。その枠から外れたらアイドルになれないというのが現実なんです。芸人や役者は二枚目じゃなくても、ブサイクでもハゲでもブスでもできるし、実は裾野の広さがある。アイドルじゃなくて役者なら、芽が出ることもあると思う。

 ただ、この仕事は唯一、すごくマイナスのことをプラスに変えられる面もあるんですよね。「ひどい」って凹んで終わるか、プラスに変える発想ができるか、それも才能だと思うんです。結局、いかに客観的に自分のことを見られるかなんですよ。この言葉を使うとどう見えるか、自分の外見や立ち位置をみんながどう思っているか。二重人格みたいに、常にシビアに考えてなきゃいけない。頑張るのは当たり前。自分自身を冷静に見る目を持たなきゃ、芸能の仕事はできないんですよ。

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