お酒を飲むときも、いつも決まったオジサンたち総勢10人ぐらいと、いつも同じ話をしているんですが、ときどきゲスト的な人が来ても、みんな楽しんで帰っていきます。気を遣う素振りも見せないのに、憲武さんが楽しんでいると一緒にいる人も楽しくなっちゃう。もう、天才なんですよね。僕みたいに気を遣うタイプだと「あの人、楽しんでいるかな? 大丈夫かな?」って思ってしまうけど、そうじゃないみたい。でも嫌な感じがしないんですよ。
飲んでも自分の話とか自慢話は一切聞いたことが無いし、大先輩なのに途中で「帰ります」ってことも全然OK。僕なんか帰ろうとする後輩に「ちゃんとタクシー呼んでこいよ!」とか怒ったりしてるのに……。勉強になることばかりです。
僕にとってビートたけしさんととんねるずのお二人は、憧れの人なんですが、気付いたら身内みたいに可愛がってもらっていて、人生を振り返ると不思議。ありがたいなと思うのは、たまーに「竹山、ちょっとこないだあれ見たけど、お前だけに言っとくわ」って、すごく的を射た技術論を教えてもらうこともあって、さすがだなと思います。
僕が45歳ぐらいのときに、堺正章さんに「芸能界じゃない人といっぱい遊びなさい」って言ってもらったことがあるんです。「仕事はあって、お金も入ってくるけど、俺には何か足りないと感じてイライラする、でも仕事しなきゃ食っていけないって思ってるでしょ? いま外の人とつながりを作っておくと素晴らしい50代が来るんだよ」って。憲武さんを見てると、まさにそれなんですよね。そういうことなんだなと納得します。
木梨憲武という人は僕が死ぬとき走馬灯に出てくるであろうターニングポイントの人です。次の生き方を探していく「生き上手」だと思うんですよね。それはラジオとか音楽とか、個展の作品からも伝わるだろうと思います。僕らの世代のオジサンたちに、ぜひ見てほしいですね。