一方、「テレビの脅威となる」ジャンルのほうでは、個人がメディアとなって動画を配信する、いわゆる「動画共有サービス」がある。このジャンルのガリバーは言うまでもなくYouTube。同社公式発表によると「世界で10億人が利用し、1日10億時間以上視聴」。巨大さがハンパない。

 ここ数年、日本ではYouTuberと呼ばれるタレント顔負けの配信者が10代を中心に人気を集め、広告収入による「年収億超え」も噂される。男子中学生の「なりたい職業」ランキングで上位入りして、大人たちを驚かせた。

 過激体験あり、ゲーム中継あり、お笑いあり。一度見始めたら最後、次から次へと動画が始まり、気がつけばあっという間に朝が来るアリ地獄。これなら「1日10億時間」もうなずける。

 ただし、大手企業の広告出稿は意外に鈍い。YouTube上のフェイクニュースや反社会的な投稿動画が問題になった最近は特に、コンプライアンスの観点から、YouTube動画への出稿に二の足を踏む企業が増えたという。

 そこで一躍注目されているのが、YouTuberを束ねるUUUMという会社のマザーズ上場だ。人気YouTuberヒカキンが最高顧問。いわばYouTuberの芸能事務所。クライアントの大手企業も、上場企業相手ならタイアップしやすい。

 個人が発信する共有サイトでは、LINE LIVEや、10秒動画で女子中高生に人気のMixChannelがこの秋からライブ配信にも力を入れるようになるなど、市場が活性化。試しにのぞくと、「学校を風邪で休んだ」という女子高校生がたわいないおしゃべりをするライブあり、姉妹の会話に視聴者が参加するライブありと、これまたなぜか、やめられない止まらない。

「広告収入を目的にしている方は意外と少なく、自己プロモーションや、リアルタイムで視聴者とのコミュニケーションが取れることのおもしろさから配信している方は多い。人気配信者としての地位を築いている方もいます」(LINE広報部)

 個人配信の動画は、正真正銘リアルな「リアリティーショー」。テレビが逆立ちしてもできないことだけに、さらに爆発する可能性も大だ。

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