高須クリニック院長の高須克弥さんは、数々の発言で「炎上」している。それでも、ツイッターアカウントのフォロワーは28万人を超え、2011年8月の登録以来、頻繁に呟いている。

「どんな偉い人にも気を使わず、本音でその時思ったことを呟いています。ぼくにとって、呼吸をするように自然なこと。新聞やテレビなどメディアを通せば、自分の発言は編集されてしまう。ツイッターは、生の声を発信できる、貴重な場所です。無茶な喧嘩を売られても、フォロワーが教えてくれて、徐々に正確な情報に修正されていく。ぼくはツイッターが大好きです。楽しいですよ」(高須さん)

 やはりツイッター上に自身の本音をそのまま書いているように思えるトランプ大統領の「本音を書きたいという気持ちも、わかります」という。

 だが、度重なる炎上は、高須さんにとっての「本音」がウェブを通すことで、多くの人の敵意や怒りも呼び起こしていることを意味する。

 炎上ウォッチャーのプロインタビュアー・吉田豪さんは、こう語る。

「この10年で、時代の空気が変わったと思います。不用意なひとことで足をすくわれる時代になったのに、ネット上には気をつけない人がいるから、炎上がやみません」

●ジャッジしないのがコツ

 煽り耐性がなく、SNSに向いていないと感じる人は山のようにいる。

「ネット上はお互いの正義がぶつかりやすく、言葉が強くなりがち。観客がいてなんとなく勝敗がつくことはあるけれど、当事者が負けを認めたり、手打ちになることはほとんどない。つまり、不毛です。それなのに、相手を論破しようとする人が後を絶たない。事実関係の間違いを正すことはできても、論破はできない。成人の思想を変えるのは無理なんです」(吉田さん)

 いま、多くの人が無意識に「呟き」ツールとしているツイッターこそ、「人間性やセンスのよしあしが筒抜けになるツール」だという。

「人を判断しやすい、いい時代になりました」(同)

 SNSをうまく使うコツはあるのか。

「怒らないこと、敬語を使うことの二つだと思います。敬語を使わないと、最低限の礼儀を持っていないと思われるし、ギャラリー受けも悪い。それから、僕個人が徹底しているのは、何かについて『ジャッジ』をしない、ということです」(同)

AERA 2017年9月11日号より抜粋