「超ボカロプラネタリウム」の案内看板
「超ボカロプラネタリウム」の案内看板
白いドームの中で360度の映像が体験できる
白いドームの中で360度の映像が体験できる
ドーム内では、壁一面に映像が映り出されていた
ドーム内では、壁一面に映像が映り出されていた

「ニコニコ超会議2015」が4月25~26日、千葉市にある幕張メッセで開催された。このイベントは国内最大の動画配信サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが主催するもので、今回で4回目。「ニコニコのすべて(だいたい)を地上に再現する」をコンセプトにしており、会場に訪れるだけで、「ニコニコ動画」の文化の神髄に触れられるのが特徴だ。今回は、その中の展示の一つ、「超ボーカロイドエリア」の展示について紹介したい。

「超ボーカロイドエリア」のボーカロイドというのは音楽ソフト。実在する人物の声を収録したものを、メロディーと歌詞をソフトに入力することで、まるで楽器のように曲を歌わせられる。よく知られているのが、声優・藤田咲の声を収録した「初音ミク」だ。「超ボーカロイドエリア」では、ボーカロイドを使った楽曲の人気作者によるライブステージや、ボーカロイドとしてデザインされているキャラクターたちに関連した動画やゲームなどの展示が数多く行われた。

 なかでもひときわ目を引いたのが、直径10メートル大の白いドーム型の建物だ。これは「超ボカロプラネタリウム」といい、ドームの内部はプラネタリウムになっていた。ただ、その球体のスクリーンに映し出されるのは、天体の星々ではなく、ミクミクダンス(MMD)と呼ばれる初音ミクの3DCGで作られたプロモーションビデオだ。製作にあたったのは、「ニコニコプラネタリウム部」という、ニコニコ動画内で結成された有志のメンバーたちである。

 前回の「ニコニコ超会議3」でも同様の展示が行われたが、その時は終日満席で、1時間半待ちの盛況だったという。今回は待ち時間が約30分で入れるというので、せっかくなので体験してみることにした。

 内部はそのままプラネタリウムになっていて、そこに映し出された映像は映画館の大きなスクリーンを間近で見るかのような臨場感がある。開演すると、初音ミクの3DCGで作られたプロモーションビデオが再生された。単に、既成の動画をスクリーンに映し出しているのではなく、後方までのかなり広い範囲まで映像が投映されているのが特筆すべき点だ。少し大げさに言えば、おおよそ360度の範囲でその映像が投映されていることで、自分があたかもその映像の世界に溶け込んでいるかのような感覚を味わうことができた。

 近年、360度のパノラマ映像を撮影できるリコーの「THETA」が発売され、その映像をスマートフォンを使って気軽にVR(Virtual Reality 仮想現実)やSR(Substitutional Reality 代替現実)を体験できるアプリが登場している。プラネタリウム型のスクリーンは、こうした360度の映像情報を投影できるシアターとして、今後利用価値が高まっていくのではないか。「超ボカロプラネタリウム」は、そんな予感を抱かせてくれる展示だった。

(ライター・河嶌太郎)