(※イメージ写真)
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 「デジタルデトックス」という言葉を耳にするほど、スマホ依存に悩む人が多い。コミュニケーションをスマホに頼りすぎることで、スマホを手に持っていないと不安になってしまうのだ。いつもスマホを見てうつむきがちになっていると、気分がネガティブになり、ひどい場合はうつ病の原因になるという報告もある。

 だが、マイナスばかりではない。スマホによって得られる恩恵は数多い。そのなかでも、意外な恩恵もあるのだ。

 スイス・チューリヒ大学のニューロインフォマティクス研究所によると、ボタン操作のガラケーとタッチスクリーン操作のスマホでは、同じ指を使うにしても脳への影響が異なるという結果が出ている。

 その研究によれば、親指と密接に結び付く大脳皮質の活性化は、ガラケーよりもスマホを使用したほうが大きいそうだ。これは、バイオリニストの指の動きと脳の関係の研究結果と同じだという。

 ボタン操作とタッチスクリーン操作で何が違うのか。詳細はわかっていないが、同じ指を使う行為ならば、ガラケーよりもスマホの方が脳への影響は大きいようだ。

 一方で、スマホゲームで親指を使いすぎると、腱鞘炎になるケースがある。先日、話題になったのは、スマホを小指で支えることで、小指が変形してしまうことがあることだ。親指と脳との関係が報告されているとはいえ、スマホを使いすぎて病気になることは避けたい。

 ここで、指と脳の関係に着目したい。「指を使えば、老化防止、ボケ防止にいい」という話を聞いたことがあるだろう。

 1990年代前半から日本では、「指回し運動」が提唱されている。正式名称は「SRS能力開発法」といい、群馬パース大学学長である医学博士・栗田昌裕氏が考案したものだ。栗田氏が言うには、「指回し運動」を行うことで脳が刺激され、老化防止やボケ防止、健康増進につながり、バランス感覚や運動機能が向上するという。特に、中指や薬指での運動は、ほかの指よりも効果が高いという研究結果が出ているという。

 スマホを中指か薬指で操作すれば、親指の腱鞘炎は予防できるし、脳が活性化されることも考えられる。一石二鳥だ。

 明日、ふと電車の中を見てみると、中指でスマホをいじる人がいるかも…。

(ライター・里田実彦)