小川:そんなことはないんじゃないかと思いますけどね。私はそういう空気を感じたことはないです。7年半「報道ステーション」を務めてきたので、代わるタイミングだったのかなとも思います。Abemaもとってもやりがいがありました。

林:そして今度はTBSの夜の看板番組「NEWS23」のメインキャスターに起用されたわけですが、プレッシャーはありました?

小川:筑紫哲也さんから30年続く報道番組なので、歴史のある番組に加わるプレッシャーはとても大きかったです。でも同時に、たとえば実力がある方でも、タイミングとか運がないと、限られた番組の限られたポジションが回ってくることはないなということを、局のアナウンサーを12年やってきて感じていたので、チャンスをいただけるなら挑戦しようという気持ちで臨みました。

林:週刊誌が勝手にいろんなことを書くから大変ですね。「『news zero』の有働(由美子)さんと戦争」とか。

小川:とんでもない。おこがましいですよ、そんな。

林:有働さんは百戦錬磨で、年齢的にもキャラクター的にも「何を言っても許される」みたいなところがあるし、そこと対抗するのって大変だろうなと思いますよ。

小川:いや、対抗するなんていう気持ちはぜんぜんないです。信念を持ってニュースを伝える仲間と申し上げたら失礼かもしれないですけど、一緒に「この時間」「この時代」を伝えているという感覚のほうが強いですね。

林:なるほどね。

小川:飾らない自然な空気の中で、見てる方を引きつける力とか、有働さんがこのニュースについて何を語るんだろうとか、どういう表情で伝えるんだろうとか、勉強するつもりで見ています。素敵だなと思いながら。

林:放送が同じ時間帯だから見られないですよね。録画しておいて見るんですか。

小川:そうです。有働さんだけじゃなくて、ほかの報道番組をチェックすることもありますね。

林:このあいだ「NEWS23」で党首討論がありましたが、緊張しませんでしたか。安倍総裁も来てたし。

小川:走りだしてしまったらもう必死なので、緊張しているヒマもなかったですけど、政治に関しては百戦錬磨の星(浩)さんが隣にいらっしゃる安心感が強かったですね。党首の皆さんのお話をどういう表情で聞いているかを撮られたりもするので、なるべく感情を抑えてというか、コントロールするように気をつけていました。私、けっこう顔に出ちゃうタイプなので、チラッとモニターを見たら、変な顔をしてるときもあるんです(笑)。

週刊朝日  2019年8月2日号より抜粋