「トビハゼちゃんのなかまは暖かい地域に広く分布しているので、九州の有明海などが生息地として有名ですが、じつは東京の江戸川河口の干潟にもいるんですね。ここは世界的に見ても北限といわれています。ただ東京のトビハゼちゃんは数が少ないので、いきなり行っても見られるとは限りません。インターネットで調べて、トビハゼちゃんの観察会が開かれるときに参加するのがいいと思います。葛西臨海水族園さまでは、なんと!繁殖にも取り組まれています。トビハゼちゃんのいる干潟をしっかりと調べて、観察に行きましょう」

 映画に登場する生きもののうち、自分の目で見られるものはほかにありませんかと、さかなクンに質問。

「映画には天敵に追われ、水面すれすれを飛んで逃げるトビウオちゃんが登場しますね! 暖かい海にはたくさんのなかまが分布します。夏は三陸のあたりまで回遊しますので、沖に出るお船に乗ったとき、運がよければ飛ぶ姿が見られますよ。大きなお魚やイルカさんなどの天敵に追われたときなどに海面から飛び出して、100m以上、時には300mほどもグライダーのように滑空するんですね。トビウオちゃんの尾びれは、下の部分が長く伸びていてとても硬い。この尾びれで水面を1秒間に何十回もたたいて空中に飛び出し、翼のような胸びれをパッと広げて飛びます。おなかの中は胃袋がなく、食べたものはそのまま腸で消化して、数十分という短時間で排泄します。体をできるだけ軽くしているのですね! 町のお魚屋さんやスーパーさまの鮮魚売り場に並んでいることもあるので、買ってきて尾びれや胸びれを見てみましょう。おなかを開いたときは、内臓がすギョく少ないのにびっくりすると思います。骨を軽くするために、骨の内部にはスポンジのような空洞がたくさんあるのも特徴でギョざいます」

 さかなクンは小学生のころから魚が大好きで、知りたい魚のことは図鑑で調べ、手に入る魚であれば、町の魚屋さんを何軒も回って買ってきた。そして、色や形をよく見て絵を描いたり、ひれやうろこの数を数えたりしたという。そして、最後はしっかりと料理して食べる。

「観察だけでなく、本物のお魚を手で触って、においをかいで、釣ったときに音を出すお魚もいますので音も聞いて、食べて……ギョ(五)感でお魚の感動をいただきたいですね!!」

 映画で感動→図鑑やインターネットで調べる→生きた魚を観察→売っている魚を買ってきて観察・解剖→料理して味わう。こんな自由研究ができたら、先生や友達から「おみギョと!」と絶賛されちゃうかも!?

(サイエンスライター・上浪春海)

※月刊ジュニアエラ 2021年7月号より

ジュニアエラ 2021年 07 月号 [雑誌]

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