きょうだい全員が東大理III、あるいはスタンフォードに合格というと、「たまたまきょうだい全員、頭が良かったんでしょ」と思いがちですが、お二人の話を聞くと、佐藤さんもアグネスさんも「きょうだい皆、性格も個性も持っている能力も違った」とおっしゃっているのです。
もともと、お二人とも「他人と比較する」子育てを否定しています。
子どもは他人と比較されることで自己肯定感が持てなくなり、ありのままの自分を好きになることができなくなってしまうからです。
「他人と比較することは悪い」とわかっていても、意外ときょうだい間で比較をしていることないでしょうか?
佐藤さんの著書にはたびたび「きょうだいは徹底的に平等に接する」ことの重要性が書かれています。親自身は平等に接しているつもりでも、つい長男長女を優先したり、弟や妹を甘やかしたりしてしまうことはよくある、と指摘。
そこで佐藤さんは、お兄ちゃん、という呼び方をせずに、全員を名前で呼ぶ。おやつの数も全員一緒(いちばん小さい妹が食べきれなければ、後からお兄ちゃんに譲る)など、普段の生活からルールを決めて、「きょうだいを平等に」がブレないようにしていたそう。
佐藤さん、子どもたちに勉強をしっかりさせた「教育ママ」と思われがちですが、このような細かなところにも「教育の柱」を作っているところはさすがです。
アグネス・チャンさんの言葉で印象に残っているのは、「子どもの性格はすべていい性格。悪い性格なんてないんです」というお話をされていたこと。
この視点、意外と抜け落ちていないでしょうか?
きょうだいの性格を説明するとき、ついどちらかをネガティブに言ってしまったりしていませんか? 「お兄ちゃんはしっかりしているけど、弟はだらしなくて」「妹は明るいのにお姉ちゃんはひがみっぽい」など。親の潜在意識は子どもに思った以上に伝わるもの。
「みんないい性格をしているね」とまずは親が思うこと。
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