しつけや教育、受験などのノウハウや体験談が書かれたいわゆる「子育て本」が、いま人気です。親戚や近所付き合いの中から子育てを自然に学ぶことができた昔と違い、核家族で育った親にとって、これらの本から知識や情報を得ることは日々の子育ての大きな頼りになります。子育て情報誌『AERA with Kids』(朝日新聞出版)の編集を12年経験した同誌元編集長の江口祐子さんは、新刊『子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)の中で、子育て本に書かれているエッセンスを紹介しています。今回は、東大理IIIに子ども4人が合格した佐藤ママと、スタンフォード大に息子3人が合格したアグネス・チャンさん、2人に共通する“意外”な教育論を紹介します。

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 10年以上子育て雑誌の編集をやってきて、取材した教育者、経営者は数百人にのぼります。スポーツ選手や音楽家、起業家を育てた母親にも多く取材してきました。

 そのような「母親の体験談」の中でもとくに印象に残っているお二人が、東大理IIIに4人のお子さんが合格したことで有名な、佐藤ママこと佐藤亮子さんと、スタンフォード大に3人の息子さんが合格したアグネス・チャンさんです。
 
 お二人には雑誌の取材だけでなく、書籍の編集もさせていただいたので(佐藤さん『親がやるべき受験サポート』、アグネスさん『0歳教育』『スタンフォード大に三人の息子を合格させた50の教育法』)担当編集者と著者という関係でお話しさせていただく機会もありました。
 
 まさに、日米の最高峰の大学にきょうだい全員が合格……いったいどんな教育をしてきたのかと毎回興味津々でした。
 
 お二人がお子さんたちにしてきた教育はもちろん違いますが、「子育てポリシー」には共通することがいくつかありました。
 
 なかでもとくに印象に残っているのが「きょうだいを比較しない」ということです。

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江口祐子
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