「司令塔」を決めておいたほうがいい
安浪:本当に、試行錯誤って必要です。今はZ会の通信教育や四谷のオンライン講座など、学びの選択肢ってたくさんある。だから今は「大手塾に行くか、独学するか」みたいな二択ではなく、もっと柔軟にいろんなやり方があるんですよね。

矢萩:ただ、改めてご質問を拝見すると、「ドリルを買いすぎた」や「いいとこどりしたい」という表現に、受験を、学んで成長するための体験として捉えられていないのではないかという印象を受けます。もちろん、「あくまで充実した時間をすごし成長することが目的」という視点でなら「いいとこどり」を目指すことは理想的です。そのなかで、「この子にとっての最適解」は必ずあるはずだから、そこを探す、探究する姿勢を持つことが大事かなと思います。
安浪:もし、本気で中学受験を目指すというなら、やはり1人はプロのサポート役をつけたほうがいいと思います。塾でも個別指導でも家庭教師でも、「この人が主軸です」と決めた上で、その人に全体の流れを見てもらう。それに加えて、セカンドオピニオン的に他の人の意見を取り入れる、という形ならうまく回るかな、と。
矢萩:そうですね。「自宅でがんばりたい」というのが本当に本人の意思なら、「プロの先生に来てもらう」という選択も十分ありです。
安浪:ただし、特にプロの先生は皆さん一家言あるので、複数人関わると、意見が食い違ったりぶつかったりすることも出てきます。そうすると、いろいろな意見に翻弄されて一番疲弊するのは、子どもと親御さんなんですよね。だからこそ、最終的にアドバイスの軸になる「司令塔」は決めておいたほうがいい。「他の先生がこう言ってましたが…」と話しても、「ああ、その意見もわかります」「それはこういう意図で仰っていたんじゃないですか」など、冷静に受け止めつつ、他の先生のこともきちんと立ててくれる人。合格実績以上に、コミュニケーション力や調整力のある先生と一緒に進めていけると、親御さんもすごくラクになると思います。
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