1位でアンカーを走る子どもが、2位のアンカーの子どもとの差が大きく開いているのを確認して、ゴール直前で手を抜いて走るのです。ゴール直前で立ち止まってしまうこともあります。観客席に余裕な姿をアピールし、2位の子どもが一生懸命走ってきたところで、1位でゴールしてまた変なパフォーマンスを見せる、ということがありました……。教員歴が浅いときのことで、いまでも思い出すと悲しくなってきます。

 こういった残念な姿が練習ではなくても、運動会当日についやってしまうかもしれません。だから、事前にこの悲しいエピソードを話した上で、「みんなが一生懸命に走って繋いだバトンを、最後まで一生懸命に走ってゴールできる人が、アンカーを務めることができます。アンカーは、ただチームの中で1番足が速い人がなるものではありません」と話すようにしています。

観覧中の子どものマナー、どう指導する?

 運動会は、自分の出番よりも、児童席で座って見ている時間のほうが長いです。このときのマナーについても指導しています。

 私が古いタイプの教師なのかもしれませんが、「お茶などの水分補給は競技中や演技中でなく、“できるだけ”競技や演技の合間に飲みましょう」と指導しています。

 サッカーや野球などの観戦は、プレー中にも飲み物を飲みます。同じように運動会だって、喉が渇いたら自分の好きなタイミングで水分補給をしたらいいのではという思いもあります。熱中症対策で子どもの安全を優先したら尚更です。

 でも、運動会は、同じ学校に通う子ども同士、同じ地域に住む子ども同士を応援する場です。自分の出番以外は、休み時間ではありません。

 だから、がんばって走ったり、踊ったりしている姿をしっかり見ようと指導しています。関係ないおしゃべりをしたり、ふざけっこしたりしないように指導しています。

 子どもたちの席も、調整します。運動会当日までに、児童席に子どもたちを座らせてみます。そのとき、仲が良過ぎて競技や演技を見ることよりも2人のおしゃべりを優先してしまう子ども同士や、相性がとても悪くて喧嘩などのトラブルが起きることが予想される子ども同士は席を離すなど、調整をしているのです。

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