これからも運動会のカタチは変化し続ける

 熱中症のことを考慮して、5月下旬の春運動会や、11月の秋運動会を実施する学校がもっと増えていくかと思います。

 さらに、「運動会」から「スポーツデイ」や「体育参観」のように、これまでの運動会を見なおす学校が増えています。他教科の授業時数の確保や、運動場の広さを考慮して、ダンスなどの団体演技をしない学校もよく聞くようになりました。

 子どもや保護者が、運動場の炎天下にいる時間を短くするために、競技や演技を学年ごとにかためる工夫をする学校もあります。子どもたちは自分の出番のときだけ運動場におりて、それ以外の時間は教室で授業を受けるのです。他学年の競技や演技を見られない・応援できないというデメリットはありますが、健康面や授業時数の確保のメリットもあります。

 昭和・平成・令和と、社会がどんどん変わっていく中で、これからも運動会のカタチはどんどん変わっていくと思います。

 ただ、運動会が原因で不登校になる子どもだけは、絶対に出ないようにしたいです。

 どれだけ多くの子どもたちや保護者が満足した運動会であっても、一人でも運動会を理由に不登校になる子どもがいれば、学校として、教員として、その運動会は失敗だと思います。

 それと、運動会当日の朝、定時開始時刻よりもものすごく早くに出勤するのも変わっていってほしいです。管理職や体育主任や早い教員は、定時開始時刻の1時間半~2時間前の早朝から自主的に出勤します。時間通りに出勤したら、もう準備が終わっています。前日に、「あまり早く出勤しないようにしてください」と言われて、真に受けて30分前に出勤したら、もうほとんどの教職員が出勤していて、準備が終わっていたことがあります……。罪悪感がありました。

「あまり早くに出勤しないようにしてください」でなく、「〇時にならないと学校は開けません!」ぐらいに変わっていけばいいな~と、切に思います。

(文/松下隼司)

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松下隼司
松下隼司

1978年生まれ。奈良教育大学卒業。大阪の公立小学校に勤める現役教師。2児の父親。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年版教科書編集委員を務める。著書に絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)、『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』(フォーラムA企画)などがある。教師向けの情報サイト「みんなの教育技術」で連載を持つほか、Voicy「しくじり先生の『今日の失敗』」でパーソナリティーを務める。

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