「今、私イライラしています」と言葉で表現
矢萩:それでもイライラの原因がわからないときは、「今、私イライラしています」とちゃんと言葉にして表現するのも大事です。イライラしているのに、それをお互い開示しないと、どんどんこじれていくんですよね。だから「イライラしてるから、何か言っちゃうかもしれないけどごめんね」と、先に言っておく。さらに、どちらかがイライラしているときは、どう対処するか、親子でルールを作っておくといいかもしれません。そういったちょっとクッションを挟むだけでも、全然違いますよ。
安浪:本当にそうですね。そして、やはりお母さんがイライラしているときは、精神的に余裕がないときが圧倒的に多いです。たとえば兄弟が多くて下の子の世話が大変なときに上の子の受験が重なっていたり、あるいは仕事が忙しかったり、それこそ夫婦関係の問題とか、要因はいろいろ考えられます。

矢萩:そうですね、今の時代は特に仕事要因でのストレスが大きい気がする。あとは、介護疲れなんかもありますよね。何かのせいにしたくなる気持ちも分かりますが、子どもがスケープゴートにならないように気をつけたいところです。
安浪:イライラしていると、どうしても子どものあら探しばかりしてしまうんです。テスト結果を見ても、文句しか言えない。指導家庭先ではそんなとき、私は意識的に「子どものいいところ」を親御さんに伝えるようにしています。「いや、めっちゃできてますよ!」とか「今日の授業、すごかったですよ!」とか。私たち第三者がそうやって伝えると、「あら、そうなの?」って、お母さんが落ち着くケースが本当に多いです。やっぱり親には見えないものが、第三者にはよく見えたりするんですよね。
(構成/教育エディター・江口祐子)
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