「今、私イライラしています」と言葉で表現

矢萩:それでもイライラの原因がわからないときは、「今、私イライラしています」とちゃんと言葉にして表現するのも大事です。イライラしているのに、それをお互い開示しないと、どんどんこじれていくんですよね。だから「イライラしてるから、何か言っちゃうかもしれないけどごめんね」と、先に言っておく。さらに、どちらかがイライラしているときは、どう対処するか、親子でルールを作っておくといいかもしれません。そういったちょっとクッションを挟むだけでも、全然違いますよ。

安浪:本当にそうですね。そして、やはりお母さんがイライラしているときは、精神的に余裕がないときが圧倒的に多いです。たとえば兄弟が多くて下の子の世話が大変なときに上の子の受験が重なっていたり、あるいは仕事が忙しかったり、それこそ夫婦関係の問題とか、要因はいろいろ考えられます。

安浪京子さん

矢萩:そうですね、今の時代は特に仕事要因でのストレスが大きい気がする。あとは、介護疲れなんかもありますよね。何かのせいにしたくなる気持ちも分かりますが、子どもがスケープゴートにならないように気をつけたいところです。

安浪:イライラしていると、どうしても子どものあら探しばかりしてしまうんです。テスト結果を見ても、文句しか言えない。指導家庭先ではそんなとき、私は意識的に「子どものいいところ」を親御さんに伝えるようにしています。「いや、めっちゃできてますよ!」とか「今日の授業、すごかったですよ!」とか。私たち第三者がそうやって伝えると、「あら、そうなの?」って、お母さんが落ち着くケースが本当に多いです。やっぱり親には見えないものが、第三者にはよく見えたりするんですよね。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は佐藤亮子さんとの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』(朝日新聞出版)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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