子どもと一緒に成長するチャンスと捉えて

矢萩:もしかしたら、イライラの原因は家庭がうまくいってないからかもしれません。この文面だけではわからないけれど。いずれにしても、今こうして「自分はイライラしやすい」とメタ認知できているなら、中学受験を子どもと一緒に成長するチャンスと捉えて、イライラしやすい自分をどうコントロールしていくか、模索する期間にすればいいんじゃないかなと思います。

矢萩邦彦さん

安浪:お嬢さんが思い通りにならないことでイライラしてお母さんにぶつける……これは小3ならよくある話ですよ。まだまだ自分の感情をコントロールできない子、たくさんいますから。でも、学年が上がるにつれて、幼さもだんだん落ち着いてきます。ただ、思春期に入ったり、受験のストレスがかかったりすると、また親子バトルが起きやすくなるんですけどね。

矢萩:僕が大手塾で教えていた頃も、小3の子たちはギャーっと騒いじゃうことがよくありましたよ。そういう生徒たちに前を向かせるのが上手な先生もいましたが、僕はどちらかというと対話型の授業スタイルだったので、できれば3年生は持たないようにお願いしていたくらいです。

安浪:今はアンガーマネジメントの本もたくさん出ていますから、何か一つでもいいので試してみたらいいと思います。矢萩さんがおっしゃったように、自分の成長の機会と捉えて。いろいろ方法はありますから。私の教え子の家庭では、親子でイライラがたまったときに、一緒にカラオケに行って思いっきり発散していたご家庭もありました。

矢萩:うん、それはすごくいい方向性だと思う。

安浪:あとは、お嬢さんの行動がきっかけでイライラしてしまうなら、「自分はどういうときに腹が立つのか」「どうしたら落ち着けるのか」というのを一度俯瞰してみるといいかもしれません。そうすれば、イライラする前にお嬢さんに何か働きかけができるかもしれない。また、先ほども言ったように性格的にイライラしやすいのか、家庭環境のせいなのか、何か別の要因があるのか、ちゃんと要因分析することも大事ですね。お母さんがイライラしていると、子どももビクビクしてしまうから。

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