違う性質の子が生まれてくるのは自然なこと

矢萩:本当にそう、生物多様性の話ですよ(笑)。同じ親から、同じ環境で育ったとしても全く同じ人間だったら、外的な要因で一斉にダメになってしまう。だから、違う性質の子が生まれてくるのはむしろ自然なことなんです。それに、親が「同じように育てたつもり」と言っていても、実際には長男は初めての子だから、探究的に子育てをする。一方、次男は「まあ、こんなもんか」と経験値がある分、放任気味になりやすい。これはよくあることですし、良くも悪くも、子どもには伝わっていると思います。

安浪京子さん

安浪:あるあるですね。それも含めて、親の成長とも言えるんでしょうけど。

矢萩:だからこそ、兄弟間に学力差が出てしまうことに、家庭環境の影響がまったくないとは言い切れませんよね。もし塾や学校の先生が、兄弟に明らかな差をつけて対応していたら、それは大問題ですよね。でも家庭内だと、割と見過ごされてしまう。僕自身、自分の母親は僕と弟に対して明らかに違う対応をしていたのですが、あまり自覚はなかったですね。だからこそ、塾でも習いごとでもなんでもいいですが、信頼できる第三者との関わりが大事なんだと思います。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は佐藤亮子さんとの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』(朝日新聞出版)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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